やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 No31  「‥ もういいね と M先輩」

 

  「‥ もういいね  と M先輩」

 

   20代後半の頃 M先輩は50代前半だった

   地方議会議員の選挙を通じて 先輩を知った

   白髪で 少し小柄で いつも柔和な笑顔を絶やさず

   議論伯仲でも 怒ることはなく とつとつと 自弁を述べていた

   

   みんなからは「仏のMさん」と  尊敬や親しみをもって 呼ばれており

   本当に 仏様のような 優しく心の広い 陰日向のない 人だった

 

   いつのころだっただろう

   生意気なことを しゃべり こっぴどく周りから 非難されたとき

   M先輩から 事務所2階の 別室に呼ばれた

 

   「いいなぁ‥‥  言いたいことを言えて  若い君がうらやましい  

    年を取ると 言いたいことも 言えなくなってねえ 

    正しいと思ったら 遠慮なく言う方がいい 

    言いっぱなしじゃ だめだけどね‥‥」

   

   そんなことを M先輩らしく 笑いながら 慰めつつ 励ましてくれた

   あの人の あの人らしい 説教だったことを 覚えている

 

   

   その後数年して M先輩は 事業所の所長として 離れた街に移り住み

   それから 間もなくして 自らの人生を 自らで終わらせた

   

   その時 ふと 説教してくれた時の M先輩のことを 思い返してみた

   M先輩は あの頃から 多くの悩みを抱えていたのではないか

   優しいから 優しすぎるから 誰にぶつけるでもなく 心がいっぱいになるまで

   一生懸命に 耐え続けていたのではないか と 

   だからこそ 「言いたいことは 言え」 と 説いてくれたのではないか

   あの時の  優しい 笑顔を思い出して 泣いた

 

   2階のM先輩の 机の上には 几帳面らしい 性格そのままに

   奥様宛の 感謝の文がきちんと置かれ  その最後に

   「もう いいね」と 記されていたという

 

   それから 40年近く経つが 

   M先輩は 今も変わらぬ 人生の師として この中に

   生き続けている

 

        

               【先輩‥ 説教いただいた事務所の2階に似ていますか?】

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霊園風景 その29 「‥‥自然はやさしくも 荒くも」

 「‥‥自然は優しくも 荒くも」

 

   やすらぎ霊園の時は 静かに流れて

   春から夏 秋から冬へと 移りゆく光景も 変わることなく 

   めくるカレンダーは これまでとの四季と 同じことを繰り返していくので

      ここには

   風や雨や鳥 自然の営みの音だけが 渡っていき 時折り 聞こえてくるのは

   列車の響きや 車の騒ぎ 

   

   それでも

   時には 自然の猛威が 何の前ぶれもなく 訪れてきます

   一昨年の 熊本大分地震では 法名塔などの一部に 被害が出て

   そして 昨年9月 大分県を襲った台風18号では 霊園のすぐ横を流れる

   長谷川が あっという間に 水かさを増し 

   すさまじい濁流となって 岸を 襲いました

   日頃は ほんのわずかな 水量ですが 数十年に一度という 豪雨は

   恐ろしいほどの勢いで 頑丈に見える護岸を押し流したのです

   下の写真に見える 横たわっているような コンクリ-トの固まりは

   本来 左側に直立していなければならないのですが‥‥

   いつ 襲うかもしれない 自然災害の恐ろしさを 実感すると同時に 

   日頃からの心構えや準備を 怠ってはならないと 言い聞かせた次第です

   

   皆さまから いつまでも 安心して お任せいただける 

   やすらぎ霊園であり続けるために 

   ここに眠る多くの御霊や 見守る方々のために

   これからも しっかりと 設備の維持管理に努めていく 覚悟です    

   

    

       【2017年9月 護岸崩壊直後の長谷川】  

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       【2018年5月 復旧工事中の長谷川】 

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       【2018年6月 無事に完成 これで当分は‥】

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain   「来る友に 破竹を採りて 土産とす」  

 

 

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「回顧録 no.30 「‥‥寒い国で出逢った通訳のIさん 5/5」

 

 

前回までのお話はこちら↓

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霊園風景 その28 「‥‥たおやかに大手毬の花」

 

「‥‥たおやかに大手毬の花」

    

    4月の末頃になると 芝生墓の近くに 丸みを帯びた 薄いピンクの花々を

 見ることができます

 その花が 手毬のように 映ることから オオデマリと呼ばれている

 スイカズラ科の 落葉小高木です

 

 緑の芝生との コントラストも とても美しく 花姿は 

 たおやか という表現が とても似合いそう

 れっきとした 我が国原産で ヤブデマリの 園芸品種に なります

 初夏の   青い空に向かって咲く姿も 美しいのですが 

 秋の 紅葉も 見ごたえがあります

 

 夏の暑さにも 冬の寒さにも強く 花も 紅葉も 美しく

 成長も遅く 剪定もいらず  

 ここまで 手間いらずの 花木は めずらしいのです 

 

 花言葉は 「優雅なたしなみ」 や 「華やかな恋」 など

 芝生墓を 見下ろす位置に 咲いてくれていますが

 まるで 愛し子を包み込むかのように やさしく微笑んでいます  

 

 

 

     【春の陽射しが ピンクを揺らし 大手毬】

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain 「あの空を 包み込むのか 夏の雲」 

 

 

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回顧録 no.29 「‥‥寒い国で出逢った通訳のIさん 4/5 」

前回までのお話はこちら↓

 

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霊園風景 その27 「‥‥フジと花水木の光景」

 「‥‥フジと花水木の光景」

  

  桜が 葉桜になり 山々の薄緑色が 一層 鮮やかな季節に移ってきました

  やすらぎ霊園の一番端 西側の クヌギの木を ひときわ大きな 

  ツルが 上っています 

  

  まるで 木の幹を 巻き込もうかとするような 光景は

  ちょっと 不気味さをも 感じさせるのですが 

  桜シ-ズンの終わりを 待っていたかのように あっという間に 若葉の間から

  一面 紫の彩りを 披露してくれる ヤマフジの花です   

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  春から夏へ向かう ひとときを 癒してくれるかのような

  落ち着いた色彩は わび や さび という この国が持つ

  独特の 静かな 雰囲気に 見事に 合致しているような気がします

     

        日本に野生するフジは ヤマフジとフジの 2種類あり その違いは

     ヤマフジが左巻きなのに対し フジは右巻き だそうです

       今年 このヤマフジを 自由墓の近くに 誘引する計画です

  来春は すぐ近くで 紫花をお楽しみいただけるかも 知れません

  ・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

 

  そして 樹木墓で 美しい紅色や白色の花を 披露しているのが 花水木です

  アメリカの 代表的な花木で さかのぼること100年あまり

  1912年に 東京市がワシントンに桜を贈った 返礼として 贈られ 瞬く間に

  日本各地に 広まりました

  庭木はもちろん 街路樹や公園樹としても 広く活用されている 花木です

  この花も 桜花と 入れ替わるかのように 霊園の あちこちで 

  可憐な花姿を 映し出しています

  ちなみに 花のように見えるのは 葉の変化したものです

  

        樹木墓の一画では 一面の芝生に眠る 愛しい人々に 春風とともに 

  花びらを届け 天を向いて ここにいるよ と ばかりに 光り輝いています

  花水木の 花言葉は 「私の想いを受けとめてください‥‥」

  ここに 眠る人に 伝えたいことばが いくつもあって

  わたしたちは それぞれの想いと 交差させながら 立っています

    

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain「見えねども フジの花影 君がいて」    

  

 

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回顧録 no.28 「‥‥寒い国で出逢った通訳のIさん 3/5」

「‥‥寒い国で出逢った通訳のIさん 3/5」

  

  いつ飛ぶか 案内もないまま 時は経ち すでに予定より2時間ほど 遅れ

  半ば あきらめかけたとき アナウンスが 飛ぶから搭乗を急げ と叫ぶ

  依然として 雪が降り続いているのに なんでの 不満と不安が 増幅していく 

  

        50mほど 凍った滑走路を歩いて プロペラ機へ 乗客の数は30人ほど  

  そして なぜか機体の前には 銃を構えた若い兵士が 立っており

  寒さを味方にして 不機嫌な表情で ジロリと睨む

 

       最後に タラップを上ったと 思ったら 後からの 足音

       案の定 兵士が搭乗し それを合図のように ドアが閉められた

 

  そして  彼は 私の 真後ろの最後尾に 座った

  威嚇しているのか 銃を触る 機械的な音が 時折り 耳につく

  

  飛行機の内部は 貨物機を改造したかのような 殺風景なつくりで

  機内誌もなし 飲み物もなし サ-ビスという言葉自体が 存在しない

  暖房も 効いているのか いないのか 寒さが 異様に堪えてくる

 

  隣のIさんを 見ると 辛そうな表情が 眼に映った

  ‥‥大丈夫ですか 

  ‥‥少し 熱があるような  

  そういえば 今朝逢った時から 元気がないな とは思っていたが

  もしもの時にと思い 持っていた風邪薬を 差し出す

  Iさんが いなければ 仕事にならないのだ

 

  雪の中 北へ向かう プロペラ機の 騒がしい音だけが 静寂さを防いでいた

                                 (続く) 

 

 

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