やす君のひとり言

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~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録no.3 【‥温泉町と祖母のこと 3/4】

前回までの記事はこちら↓

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  「‥温泉町と祖母のこと 3/4」 

 

 豊かさから貧しさへ 生活を変えてきた祖母の唯一の楽しみが 娘が嫁いでいる

   温泉町へ行くことだった

 

 わずかばかりの田畑つくりの合間 特に体を休められる冬の時期は いつも かわい 

 がってくれた 小学生の私をお供に 通い続けた

 

 発電所近くのバス停で乗り換えたが 待ち時間があればバス代を惜しんで歩いた

 雪でバスの来ない時も歩いた 子供の長靴にはすぐに雪が入り、手も足もかじかみ

 祖母がくれた飴玉を口で転がしても 寒さはごまかせなかった

 

 降り続く雪道を歩く老婆と子供を拾ってくれる車があれば 祖母は 何度も何度も

 頭を下げ続けた  

 

 今でも 時々 あの風景を思い返すことがある 

 切り立った山が迫る川の畔の細い雪道と 私の手を引いて歩く祖母の姿を

                    

                                                                                                                                                                                           f:id:yasuragi-reien:20170429145340j:plain

 

 

 

霊園風景その2 「芝生墓の美しさ」

 「芝生墓の美しさ」

 

 やすらぎ霊園の高台に 一面を緑の芝生で覆われた 区画があります

 南向きに いくつもの墓石が整然と並び 五月の光に輝く風景は

 さながら 故人たちの幸せ度を あらわしているかのようです

 

 この地に「芝生墓」が誕生して 今年で5年目を迎えました

 

 訪れたお客様からは「美しい」や「いつかはここに」などの声をいただきましたが

 従来のお墓とは形が違うためか 当初は遠慮する方がほとんどでした 

 

 それでも 少しずつ墓石が並び始めますと 墓石のシンプルさや芝生とのコントラ

 トの美しさなどが際立つようになり 今、最も人気のある区画になりました。

 

 また、お客様の好きなデザインで建立する自由墓区画も 好評をいただいています。

 

    これから芝生の緑が一層濃くなりますと 自然に抱かれて眠る やすらぎの調が

 聞こえてくるような気がします。 

 

              【五月の光を浴びて 芝生墓地】

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回顧録no.2 【 ‥温泉町と祖母のこと 2/4 】

 

前回の記事はこちら↓

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   「‥温泉町と祖母のこと 2/4

 

 「一代で家を潰した」と祖母が恨みのように言っていた祖父は 自分が生まれたときは

すでに故人であり 父や母もあまり祖父について語ることはなかった 

「潰した」ことを口に出したところで それが慰めにも 何の役にも立たないことが 

嫌というほど身についていたのだろう 

 

しかし 人生の多くをともに過ごしてきた祖母は 祖父の置き土産が今の暮らしぶりで

あることを 隠そうとはしなかった 

それを父や母の前ではなく 孫の私に独り言のように語りかけてきたことを覚えている 

 

ほとんど涙を見せない祖母だったが 祖父の酔いどれ話をする時は 悔しさと

情けなさと 寂しさが 入れ混じったような涙顔になるのだった 

 

毎朝 仏壇の前で 言い切れなかった愚痴をぶつけていたのか 

それとも そんな自分を悔いて 詫びていたのか

 

丸まった小さな祖母の背中を 布団の中から眺めていた 冬の朝の思い出  (続く)                                            

  

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(お知らせ)

 

「さつきフエア」開催します!

  4月から5月に移る頃 やすらぎ霊園は新緑に包まれ 静寂の中

     青い空と 浅緑色の織り成す光景は 幼い頃に見た故郷にも似て

              私たちの心に はるか昔の思い出がよみがえります

  

  …… 来る4月29日(土)から5月7日(日)までの9日間 

                    「さつきフェア」を開催します ……

  •   期間中、建立条件の良い区画を特別価格で提供します。
  • 「建立済お墓」を特別価格で提供します。
  • 「納骨堂(一時預かり)」の特典をご用意しました。
  • 「使用期限付きお墓」をご用意しました。

   

五月の風が舞い踊る「やすらぎ霊園」へ、どうぞ、ご家族おそろいでお越し下さい。

ささやかなプレゼントを準備して、職員一同心よりお待ちしています。  

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霊園風景 その1 【 春風に舞う山桜 】

   【春風に舞う山桜】

  3月の終わりから4月にかけて 

          やすらぎ霊園の風景が最も 華 やかになります   

    高台に植えてある「寒緋 桜」が蕾を開き 見渡す限りの山々に 点々と山桜

    が色づき始め 次に樹木墓傍の「陽光桜」たちが鮮やかな朱色を披露し 

    やがて「染井吉野」が霊園のあちこちで咲き誇ります 

    

    花はいっとき 満開の美しさを謳歌し 春風や雨の訪れとともに 空に舞い 

    地上に降り やがて葉桜へと姿を変えていきます 

    

    人々は桜花の下にたたずみ 想いを馳せます 

    子供の頃 青春時代 社会人の春 愛する人との出会い そして別れ 

    春にしか逢えない花を仰ぎ見て 生きてきた道程を 振り返るのです

 

    樹齢150年ほどといわれる山桜が 静かに眠る故人を包み込むかのように

    やさしく咲いてくれています 

    

    真っ白な花びらたちが 風の中を微笑んで 墓石に降りそそいでいました

    

    また 来春も逢えますように

 

      【芝生墓の傍らで満開を迎えて 山桜】

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【立春の頃の椿のこと】

 

 

  「 花木を育てていくことは 命を育てることだと思います

      芽の出るころ 花の咲くころ 果実の熟れるころ どこを切り取っても

       命が輝いています  私たちの人生と重なっているかのよう…… 

        走馬灯のように 回り回っていく 四季の中での花木の物語です 」

 

「花木の走馬灯」

   亡くなった義父は とても椿が好きでした

 

  狭い庭でしたが 鉢が並び多くの種類の椿を育てていました

  いただいた肥後椿は 今も元気に春を告げてくれています

 

  その影響もあって 30年ほどまえに 初めて買い求めたのが「玉の浦」です

  長崎の五島列島で発見されたことで名づけられたこの椿は 

  毎年 立春の頃になると真紅の周りに白の覆輪が入る 美しい姿を

  披露してくれます

  

  寒さの残るこの時期 蕾が開き始めると メジロたちとともに

  やさしく温かいひとときと 義父と義母の想い出を 届けてくれるのです

 

  そして 天を仰いで 多くのことに感謝します

 

         【 やぶ椿から偶然生まれた「玉の浦」】

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回顧録no.1 【‥温泉町と祖母のこと 1/4】

回顧録 

  幼いころの記憶をたどり 心に残る人との出会いや別れなどから

     生きてきたことの幸せや苦しさ 辛さ そして今 生きていることへの想い  

      積み重ねている時間の中で ふと気づかされる 郷愁へのあこがれ 

       思いつくままに そして かすかな記憶も頼りに 記していきます

        あなたの 心に 少しでも残るものがあれば うれしいのですが‥‥

 

 

 「‥温泉町と祖母のこと 1/4

 

立春に近い季節 高い山々に囲まれて佇む故郷は茶褐色模様に沈み 

時折り吹く風が 頑固なまでに春の訪れを拒んでいるような日が続き 

親や  そのまた親たちが植えてきた 杉林だらけの味気ない色彩も

寒々しい空気を運んでいた 

 

 家の裏に立っていた古い紅梅は 急ぎ足で春を告げようとばかりに

蕾をふくらませつつあったが わずかばかりの赤色は少しの空曇りでたちまち

色褪せて目立たなくなった

 

 光の射す時間は短く すぐに冷気を含んだ夕暮れが訪れ 

薄い板戸と障子で囲まれただけの部屋は寒さを増し 

母が布団に入れてくれた湯たんぽも瞬く間に冷めて 

幾度となく目覚めては暗さの中で震えていた記憶が 今も残る 

 

そんな凍えるような朝でも 祖母は誰より早く起きて

仏壇の祖父に言葉をかけていた     (続く)

                                            

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