霊園風景 その6「夏風がおよぐ樹木墓地」
「夏風がおよぐ樹木墓地」
ふと 風に吹かれてみたい気持になったとき
見るともなく 空のかなたを眺めていたいとき
子供の頃に遊んだ 夏風景を思い返したいとき
何もないのだけれど 日々の繰り返しに いらだち 疲れたとき
ここに立って 南の空を眺めています
三方を緑に囲まれ 高台から見下ろす位置にある「樹木墓地」の 初夏の風景に出逢
うと いつもそばにいて ずっと一緒に生きていくことを 疑わなかったあの頃が
思い返され すごした時間が とてもいとおしく 感じられるのです
もう二度と あの頃は戻ってこないのだけれど
大切な人に逢うことも 声を聞くこともできないのだけれど
それでも ここに立って 芝生に覆われた墓碑に語りかけてみたら
逢えるような あの懐かしい声が聞けるような そんな気がしてなりません
初夏から盛夏 そして残暑へと 夏が来て過ぎ去るように 「樹木墓地」の風景も
少しずつ衣替えしていきます
7月 風泳ぐ「樹木墓地」の風景です
【 夏風が泳ぐ樹木墓地 】
伝えたい 言葉を置いて 夏がいく
回顧録no.6 「‥温泉町のA君のこと 2/4 」
前回までのお話はこちら↓
「‥温泉町のA君のこと 2/4」
その温泉町は町の中央を川が流れ 両側には高い山が迫るわずかな平地に 多くの旅
館が軒を並べていた
A君の住む家は 高台に立つ狭い平屋の住居で 庭のすぐ向こうには崖がせまってい
たし その崖は大雨のたびに家に近づいていると A君は笑って教えてくれた
彼が一人っ子のためか 家の中はきれいに整理され そして 本棚には「少年画報」
や「冒険王」などの漫画本が 所狭しと並び 最新号がいつも揃っていた
その頃 漫画を買ってもらえる子供はわずかで いつも回し読みでしか 読むことが
できなかったから いつでも好きなだけ「まぼろし探偵」や「赤胴鈴之助」を読める
A君がうらやましかったし 壁に貼ってある何枚もの絵は とても上手に描けていた
記憶がある
西日を受けた窓際で本を読み 絵を描くA君を見ながら 子供心にもうらやましさと
あこがれを持った記憶がある
【 ♪♪ け-んをとってはニ-ッポンいちの~ 赤胴-鈴之助 】
霊園風景 その5「 ‥‥ 華やかな花壇墓」
「‥‥ 華やかな花壇墓」
【 五月末 色鮮やかな花壇墓 】
ちょうど1年前の春に 販売を始めたのが「花壇墓」です
文字どおり 花壇に植えられた 色とりどりの草花がお墓を飾っています
「故人の周りを好きだった花で飾ってあげたい」という ご家族の要望にお応えして
誕生した「花壇墓」は お墓をできるだけ小さくし 何種類もの草花が故人を包み込
むイメ-ジでつくられています
奥の方に好きだった宿根草 手前に一年草と それぞれに違った色彩の草花は 故人
を慰め 訪れる人とのふれあいの時が より身近に感じられるのではないでしょうか
やすらぎ霊園にお越しの時は ぜひ「花壇墓」を訪れてください
あの人の声を聞いたような あの人の笑顔に出逢えたような
そんな想いのひとときが 過ぎていくことの幸せに 浸ってみませんか
君がいる 花お墓に舞う あざみかな
回顧録no.5 「‥温泉町のA君のこと 1/4」
「‥温泉町のA君のこと 1/4」
祖母と行く温泉町での楽しみのひとつは 2人の従兄弟との遊びだった
特に一つ下の従兄弟とは年が近いこともあり 一日中一緒に遊んでいた記憶がある
大雨が降った後の川岸脇のくぼ地には いろんな川魚が取り残されていて
そこに子供たちが入って 我先にと手あたり次第捕まえるのだが
その時 従兄弟が誘って来ていたのがA君だった
色白のやさしい顔立ちの子で ニコニコ笑いながら
楽しそうに水しぶきをあげて動き回っていた A君とは すぐ友達になった
彼は絵を描くのが好きで 本を読むのが好きで 映画を見るのが好きな 自分と同じ
趣味を持っていたことも そして 彼の物静かで控えめな性格も好きだった
彼の両親は 従兄弟の親と同じく 小さな旅館に勤めていた
(続く)
【胸をときめかした 時代劇】
霊園風景 その4「雨に煙る やす君たち」
「雨に煙るやす君たち」
駐車場から「芝生墓地」へつながる階段横の芝生面に いくつもの 石造りの
かわいらしいモニュメントが並んでいます
考え事をしている男の子 胸で手を合わせる女の子 子供を抱くお母さん
ここに「芝生墓地」を造るとき 眠っている故人たちのささやかな なぐさめになり
ますように 参拝される人たちが笑顔で逢いに来れますように そんな想いを込めて
設置されました
このブログを案内している「やす君」は その中でも やさしい微笑みを浮かべて
そして とても愛嬌のある表情で 顔をかしげて 真ん中の位置に鎮座しています
彼らが眺め続けてきた風景には いくつものドラマが詰まっていることでしょう
墓地にあふれる 色とりどりの供花には それぞれの辛さや 悲しさなどを抱えて
やす君たちの前を通り過ぎていく人々の光景が浮かびます
静けさの中で 聞こえる声やため息を やす君たちは共有しているのだと思います
今日は静かな雨の一日で 訪れる人も少なく 休息の時間が過ぎていきます
君が待つ 芝生墓地にも 梅雨が来る
回顧録 no.4 【‥温泉町と祖母のこと 4/4】
前回までの記事はこちら↓
「‥温泉町と祖母のこと 4/4」
娘の住む温泉町ですごす時の 祖母の表情は明るく 滞在中は時を惜しむかのように
親しんだ銭湯に足を運んでいた
家から歩いて10分ほどの田んぼの中に そこだけ 眩い灯りがたなびいて
誰でも 自由に利用することができたし 確かに混浴だったような
あの頃の温泉町の風景は 遠くに過ぎ去った今でも 走馬灯のように めぐりくる
華やかなポスターで飾られた映画館 停車場の木製の長椅子たち
橋の傍にあった射的場 そして 静かな雨の中に漂う湯気の向こうの町並み
祖母も そうしたやわらかい雰囲気の中で過ごす時間や 時々に思い出すことが好き
だったのだと思う
その後も何度か一緒に訪れたが やがて体を壊して入退院を繰り返す日々となり
温泉町は 少しずつ遠のいていった
祖父の元にいって半世紀が過ぎ 今はふるさとの桜木の傍で 夫や息子たちと一緒に
眠っている
新茶の美味しい今日あたり 親子仲良くお茶を飲みつつ 昔話でも
【湯気に煙る 祖母が通った温泉町の風景】
霊園風景 その3 「観音様に守られて」
【観音様に守られて】
やすらぎ霊園を見下ろす高台に 観音様を頂く建物があります
朱色に染まる枝垂れ梅横の奉名板には ここ「永代供養墓」に合祀されている方々
のお名前がおひとりおひとり記銘され 観世音菩薩の庇護のもと静かに休まれてい
ます
「真実を求めること 私利私欲に走らないこと すべてが平等であること
人の苦しみを自分の苦しみにできること 人の楽しさや喜びをともに感じられる
こと」 観音様は そうした心の有様について問いかけています
「なぜ わたしは生きているのだろうか」 よと頭をよぎる自分の生き方について
考えてみることができるなら そして 生き方を変えてみることができるなら
少しでも 観音様の教えに近づくことができる気がします
そんなささやかな 自分への挑戦が 亡くなった家族や愛した人への恩返しにつな
がるのかも知れません
今日も大自然すべてに向けて 慈悲の心で 観音様が微笑んでいます
【春3月 満開の枝垂れ梅と観音様を頂く永代供養墓】