回顧録no.5 「‥温泉町のA君のこと 1/4」
「‥温泉町のA君のこと 1/4」
祖母と行く温泉町での楽しみのひとつは 2人の従兄弟との遊びだった
特に一つ下の従兄弟とは年が近いこともあり 一日中一緒に遊んでいた記憶がある
大雨が降った後の川岸脇のくぼ地には いろんな川魚が取り残されていて
そこに子供たちが入って 我先にと手あたり次第捕まえるのだが
その時 従兄弟が誘って来ていたのがA君だった
色白のやさしい顔立ちの子で ニコニコ笑いながら
楽しそうに水しぶきをあげて動き回っていた A君とは すぐ友達になった
彼は絵を描くのが好きで 本を読むのが好きで 映画を見るのが好きな 自分と同じ
趣味を持っていたことも そして 彼の物静かで控えめな性格も好きだった
彼の両親は 従兄弟の親と同じく 小さな旅館に勤めていた
(続く)
【胸をときめかした 時代劇】