回顧録no.6 「‥温泉町のA君のこと 2/4 」
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「‥温泉町のA君のこと 2/4」
その温泉町は町の中央を川が流れ 両側には高い山が迫るわずかな平地に 多くの旅
館が軒を並べていた
A君の住む家は 高台に立つ狭い平屋の住居で 庭のすぐ向こうには崖がせまってい
たし その崖は大雨のたびに家に近づいていると A君は笑って教えてくれた
彼が一人っ子のためか 家の中はきれいに整理され そして 本棚には「少年画報」
や「冒険王」などの漫画本が 所狭しと並び 最新号がいつも揃っていた
その頃 漫画を買ってもらえる子供はわずかで いつも回し読みでしか 読むことが
できなかったから いつでも好きなだけ「まぼろし探偵」や「赤胴鈴之助」を読める
A君がうらやましかったし 壁に貼ってある何枚もの絵は とても上手に描けていた
記憶がある
西日を受けた窓際で本を読み 絵を描くA君を見ながら 子供心にもうらやましさと
あこがれを持った記憶がある
【 ♪♪ け-んをとってはニ-ッポンいちの~ 赤胴-鈴之助 】