やす君のひとり言

やす君の情景

大分市竹中 花と緑に囲まれた公園墓地                                                           ~やすらぎ霊園~

回顧録no.11 「ひょうひょうと生きた父のこと  3/4 」

 

食べることや着飾ること  物を持つことなど 父は何にも望んでなかったように思う

望んでもかなわない あきらめだったのかも知れないが わたしの記憶の限り 

そうしたものには 全く縁がなかった

 

夕食時には 塩鯨一切れをつまみにして焼酎を一杯飲み 漬物やお茶づけで 軽く

ご飯を流し込み 安い煙草をくゆらし 手枕で ラジオから流れる雑音交じりの浪曲

きながら しばらくのうたた寝の後 静かに寝床へと足を運んでいく

 

それが   父のかもし出す光景で 浪曲の調は あの頃の夜につながる

 

働き者で 朝早く弁当を下げて出ていき 帰った時の作業服はいつも汚れていたが 

やさしい笑みを絶やさない 父の表情は とても 誇らしかった 

 

お酒は弱く 祝い事などの飲み会でも 短い時間ですぐに席を立ち 縁側で煙草を楽し

む姿や 畑をゆっくりと歩いている姿などの 光景があった

 

長々と飲むのが 好きではなかったのか それとも 借金をつくった祖父のことが 

あったからなのか  最後まで 聞く機会はなかったが

 

ただ 一度だけ 外で酔いつぶれた父を 迎えに行ったことがある 

肩を貸して小道を帰るすがら 伝わる息遣いに 父のつらさや苦しさに 

触れたような気がして 涙が出た  小学生の終わり 夏の夕暮れ     (続く)

 

 

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