やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録no.18 「・・・酔うと陽気な? Y先輩」

     「‥‥笑うと陽気な? Y先輩」 

 

  Y先輩は 飲むと最初は優しく 杯が進むと声や動きが変化し やがては・・・

  蛍光灯が点滅するように 明るさと暗さが同居するようになり

  声も 敬語から 少しづつ べらんめぇ調が混じり いつしか 完全に

  「おい、おまえ」と、なり 声も大きくなってくる 

  

  ここまでくると こちらも少しづつ 身構えなければならない

  手振り身振りの話が進むと 手が出てくる

  といっても 殴る訳ではなく 声と同時に 箸や楊枝やおしぼりなどが 空を飛ぶ

        のだ

 

  笑顔で 相槌うちながら 先輩の前から物を隠したり その間 何回か体をかわし 

  ようやく 投げるものがなくなると 少しの時間 静かなY先輩に戻っていく

 

  と 思ったら  また違うY先輩が 目の前に現れる

  うつむき加減で ボソボソ と 聞き取れないほどの 小さな独り言から 次の舞

        台が始まる

 

  顔を上げると 涙目になっており 「おまえには苦労かけるなあ」と いつもの

  セリフが口に出る 本当は 自分のことを思い出して 泣いているのかも

  いい年して いい加減にして・・・ 

  などとは とても言えなかった

  

  そんな先輩の 声がおかしくなった 

  しわがれて 細い声しか出てこない

  大丈夫 大丈夫 風邪だ と言っていたが やがて水も 喉を通りにくくなり

  しぶしぶ行った病院の診断は 末期癌だった

 

  遅かったよ などと笑いながら 

  もう君と飲めないなあ  の言葉に 涙した

 

  診断からわずか3か月で 彼岸へ渡ったY先輩

  闘病中は 弱気になることもなく 最後まで強い先輩だったそうな

  現役の頃に 弱い部分を見せたから 

  強い部分しか残っていなかったのだと 思う

 

  Y先輩は 一回り上の辰年生まれ

  わがままも やりたいことも 黙って受け入れ 

  何度も かばっていただいた  

  Y先輩がいなくなって はじめて 懐の広さを知り

  

  年が 近づくにつれて 飲んだ時の気持ちや行動が 

  似てきたような 気がする

 

 

      

                       先輩! 今も元気に 飲んでいますよね? 】  

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