やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.22 「 ‥‥ 檜よ」

「 ‥‥ 檜よ」

 

その木は ふるさとの庭に  立っている 

魚も棲まない 小さな池の傍に 立っている

幼い頃 山から移した ほんの小さな 檜の苗木 

それから 半世紀以上経て   はるかな空より 集落を見下ろしている

 

ずっと 見てきた 

供たちが 家を離れていくとき 

祖母や父が 彼岸へ渡ったときを 

集落から人が減り 家が朽ちていくとき

田畑の姿かたちが 失われていくとき

 

先祖が 山を切り拓き 石を積み 土を耕し 実りとなって

生きる糧を与えてくれた 田畑たち 

 

豊穣の秋をもたらした 棚田は 一面の雑草や雑木に覆われ

四季の実りを約束した 畑は 竹や笹に 占領され

聞こえるのは 風と鳥と 荒らし続ける 獣の騒ぎだけ 

 

いくとしつきを経て 人が消えた この地には

ここを終の住家とした 先祖たちが眠っている

「どこにも行くものか」 風の中に そんな声が聞こえてくる    

 

檜よ 

ここで 生きた人たちの 安住の想いを どうか 聞いて欲しい 

そして 雨を弾き 風を遮り あらゆるものから 守って欲しい

 檜よ

ここで 生きた人たちの 証を受けとめて 堂々と 天に向かい

幹を伸ばし 枝葉を広げて欲しい

 檜よ

君は 生き証人になるのだ

 

 

 

 

        伸びていけ どこまでも 守り木よ 】

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