やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

霊園風景 その54  「‥お墓たちの話」

 

 「‥お墓たちの話」

 

  「来ないねぇー」

  「うん‥」

  「いつ来たの?」

  「‥‥」

  「いつ来たの?」

  「‥‥」

  いつ来たの!!」

  「‥‥ 覚えていない」

 

  「なぜ 来ないのかなぁ」

  「子供たちは遠くに行ったし 両親も 年老いたし‥‥ 

   来たくても来れないんだ  と思う」

  「そうかあ でも お花がないのは 寂しくない?」

  「仕方ないよ それに どうせ すぐ枯れるし」

  「こっちのお花を 少し分けてあげようか」

  「ありがとう でも 君 動けないし 周りにもあるから 大丈夫」

    

  「それより この頃 とてもきれいになったけれど 何かあった?」

  「うん お父さんが亡くなって この前 納骨したの 

   だから みんなでお掃除して お花も供えてくれたの」

  「そうかあ じゃお父さんも 喜んでいるだろうね」 

  「みんなに見守られているから そう思いたい

   だけど お母さんは ずっと泣き続けていて 少し 悲しかった」

  

   「好きな人が いなくなれば 悲しいし 寂しい 

   でも ここに来れば 逢えると 思うし そしたら 

   悲しみなんかも 少しは 和らぐような そんな気もするけど‥」

   「 ‥‥うん そう思いたい」

 

   「 ‥‥ねぇ わたしたちお墓は なぜあるの?」

   「うーーん 今 それ言う?」

   「だって この頃 あまりお墓建てなくなったって よく聞くし」

   「でも 家族そろって ご先祖様や故人を偲んで 敬う そ して

   今 みんなが元気でいることに 感謝する 

   そんな家族の絆や想いが いっぱい詰まっているところが お墓じゃないかな 

   だから これからも ずっーとつづいていく と 僕は思うよ」

  「そうなんだぁ でも良かった みんなの役に立っているだけで 幸せ

   あのお母さん 今度来るときは 笑顔だよね」

  「絶対に 笑顔だよ」 

 

  「でも あなた 石頭と 思っていたけど たまには いいこと言うね!」

  「石 は間違っていないけど たまには は余計です!!」

 

 

   

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain「五月待つ 花橘の 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」

 

 

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