やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.61 「‥夢の風景  ~丘の上の天国」 

 「~丘の上の天国 」 

 

   梅雨前の 晴れた日の朝 友を誘い 丘の上の 喫茶店に足を運ぶ 

   詰め込み研修会の 裏方 合間の休日 

   疲れた体と心が 癒しを求めていたから 人のいない 上をめざした

    

   施設探しの時に 偶然見つけた 場所 

   何もない 青と緑の境 絵に画いたように 一軒だけ建っており 

   晴れた日 だったからかもしれない 

   緑の芝生 白一色の壁 青色の屋根 そして 真っ青な空 

   昔 雑誌か ポスターか 見た記憶の 風景に似て 心が躍る

 

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   道が 空に続いているような 錯覚を覚え 黙って緑の脇を進む

   駐車場は 途中にあり そこからは 徒歩

   砂利道に一歩踏み出す その音と感触は ことさら 新鮮で   

 

   近づくと 建物は古く あちこちに 傷みが見られ 壁のいくつかは

   補修してあり 新しい白と古い白が 混在している

   ドアも白 観音式 少しだけ鈍い音を響かせて 開けた店内

   真っ白な壁 床は板張 素朴な木製のテーブルと椅子が きちんと配置され

   二方の窓から届いてくる 光が 緩やかな風の流れを 映している 

   東側には庇があって 引き戸の向こうは バルコニ―になっていた 

    

   僕たちは 誘われるかのように 引き戸を開け 緑の絨毯の 椅子に 座った

   眼下に広がり 彼方まで 風に吹かれて なびいていく草原と その果て 

   霞む山々の向こうに ふるさとの 風景が 浮かび上がり 

   眩しさと なつかしさが交差し 夢とうつつを 行き来していた

   

   かすかな香りが漂い 何気なく振り向くと 

   引き戸を囲んだ 壁一面 真紅の薔薇が 咲き誇っており

   それは 清とした空気の中 朝日に照らされて 艶やかさを 振る舞っている 

     

   青 白 赤 そして 緑色が織りなす 彩り 

   この世ではない この世に 身を置き ひたすらに 感動していた 

           そこで過ごした 唯一無二の静けさと 極上の美しい光景は 

   色褪せることなく 心の中に 瞼の奥に 今もある

   自分を励まし 自分を取り戻すことのできた ただひとつの瞬間として

   

   あれから 30年近くが過ぎた 

   僕は あの感動を超える 感動には まだ 出逢えていない

   人でも 自然でも‥                           

 

 

 

      

          【 あの山の はるか彼方にある ふるさとへ 】

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