やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.72 「‥夢の風景  ~幸せである ということ」

 

 「~幸せである ということ」

         

            日当たりのいい部屋  窓ガラスは 咲き揃う春の花を 鮮やかに映し出す

   車椅子でうたた寝している 畳敷きのスペースで 体を休めている

   テーブルの上の白い紙に  ちぎった青や赤の色紙を 貼り付けている

   向かいは チラシを小さく丸めている

 

   それぞれが 穏やかに 時間を共有している この空間

   ここには 争いも 憎しみも 恨みも 妬みも 存在しない

   あるのは ささやかな喜びと ささやかな幸せ

   そして 長いとしつき 艱難辛苦を乗り越え 辿り着いた 確かな安堵感

 

   この寝顔 あの寝顔 刻み込まれた皺の ひとつひとつに 物語がある

   戦前から戦中 そして戦後と 目まぐるしく 変わっていった時代 

   苦しみや悲しみが続く中 必死な思いで 家族を守り 生き抜いてきた

   そして ようやく 味わうことのできる 安らぎの寝息

   

   「苦労はいつか報われる」 そう思い 必死に 前を見て 頑張ってきた

   地位や 名誉も求めたこともある 誰よりも上にと 願ったこともある

   そうしたものは ほとんど 手に入らなかった

   それでも わたしは こうして生きている

   家族や友が 彼岸へ渡ったのに 未だ 人生という 時を 刻み続けている  

   たとえ 歩くことができなくても 話すことが不自由でも

   四季の移ろいを感じ 美味しものをいただき 夢から覚めることができる

   

   愛する人や 親しい人たちが 去っていき 

   独りの時間と 寂しさが 増えてきた だが‥

   こうして 生きていられることは 素晴らしいことだ

   これだけでも わたしの人生は 最良だったと 思う   

   今は あの時の苦しさや あの時の辛さも 笑って 振り返ることができる

   「みなさん ありがとう わたしは もう少し こちらで頑張ってみますね‥」   

    

  

       「お母さん 穏やかに過ごされていますよ」 と さりげなく伝える職員さん

   そのひとことで 救われた気持ちになっていく

   「どちらさまですか?」 と 怪訝そうに 言われても

   笑って いい夢を見てくれたら それだけで いい‥

 

 

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