やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.81  「‥夢の風景 ~久住高原の珈琲」

 「~久住高原の珈琲」

    

     いつから そこで 珈琲を提供しているのだろう

  妻が元気なころ 前を通るときには 必ず寄っていたから 15年ぐらい経ったろうか

  可愛らしい 2代目の 白いワンボックスカ-  注文を受けてから 豆を挽いてくれる

  心が揺らぎそうな香りと味 九重と阿蘇の真ん中で いただく 文句あるはずが ない 

  美味しいモカ と 初夏の青空 と 風と光と緑の中 僕たちは 天国にいる

    

   「よく あそこで 奥さんとワンちゃんが 遊んでいましたね‥」

  草原を指さしながら 対面で 語りかけてきて つい 涙で 風景が ぼやけそうになり  

  顔をそらす

  「今も きっと あちらの草原でも 遊んでいると思いますよ‥」

  などと 言うから いよいよ ぼやけてしまう

 

  このお兄ちゃん  小柄で顔も小さく ちょっと なごむような 優しい目と表情

  雨だろうと 風だろうと 雪だろうと 必ず 車は 指定席にある

  本当に 雪の吹きすさぶ日も そこにあった

  「お馴染みさんがいて」 なんて 嬉しそうに とってもいい笑顔 

 

  いつの間にか 傍に 小さな六角形のハウスが できている

  全てが木造りで 中にはテーブルと椅子 棚には いろんな本が並ぶ

  「寒い時や 雨の時に 待っていただくのが 申し訳なくて‥」

  「友達の好意で 安く できました 本も お客さんからの頂きものです」  と 

  本当に 申し訳なさそうに 呟く  そんなことはない  絶体ない 

  きっと お兄ちゃんの人柄で 造ったんだよ

 

  「毎日 ここにいて 退屈しない?」 なんという 愚問

  「全然です‥ この絶景を いつも 独り占めしているって これって すごい幸せなことだと 

  思いませんか?」  やっぱり 愚問だった 

  お兄ちゃんも いろんなこと 抱えていて 辛いことや 苦しいことも あるだろうし

  もしかしたら 辞めたいって 思ったことも あるかも知れない

  それでも ずっと続けているのは 辞めたい気持ち以上に この場所が 好きなんだろうな

 

  人間 生きていれば 山谷あって それを乗り越えていく 手段も方法も 人それぞれ

  お兄ちゃんの越える力は この自然と 心通わせる 多くのお客さん なのかも知れない

  自分が 乗り越える力は 何なのだろう と 

  久しぶりの お兄ちゃんとの 対話で  考えている 

 

  これからも ずーっと お兄ちゃんは あの場所で 

  ゆったりと 珈琲を 提供していくのだろうな

  今度行ったら 忘れずに お兄ちゃんの名前を聞いておこう‥  今さらだけど

  九重にも 阿蘇にも もうすぐ 夏が来る‥ 

  

 

  

           【可愛らしい珈琲販売車と 六角形の木造ハウス 】 

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