やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録no.23 「‥‥ カレ-うどんと T君一家のこと 1/3」 

 

「‥‥ カレ-うどんと  T君一家 のこと  1/3

 

 

 「T君へ お元気でしょうか

    この頃 時々 あなたたちご家族のことを 思い出します

    年を重ねるごとに 冬の雪模様を 見るごとに 

  若かった頃の 大切な記憶として あの何年間の 綴りが  

    ペ-ジをめくるかのように 少しずつ 蘇ってきます」

 

 

 T君の生家は 県南部の かつては スズや鉛が採れていた町へ続く

 市道から 右折して 少し狭い道へ入り さらに右折して

 もっと狭い 車一台がやっと という道を ひたすら川に添って登り

 源流に近い 雑木山の麓に抱かれた 小高い位置に立ち

 そこには 美しい棚田があって 数軒の家々が整列していた

 

 家の手前に 澄み切った小川があり 水を引いた池には 鯉などが泳ぎ

   石垣を積んだ敷地の すぐ横が鶏小屋で いつも賑やかだった

 木造平屋の広い家には T君と両親とお婆さんが暮らし 

 T君は 家から通いながら 離れた町で職に就いていた

 

 お父さんの静かな佇まいや お母さんの明るく世話好きな ところ

 お婆さんの 少し腰が曲がり 畑の中で黙々と 働く   姿かたち 

 

   そうした 雰囲気や光景は 自分の父や母や祖母に 重なり合って

 だから 仕事で T君の家に向かうときは いつも里帰りの気持ち

 同い年だったこともあって すぐ友達になった 

 

 T君の家に泊まり 猪鍋をつついたこと 川下まで魚釣り競争したこと

 椎茸が半焼けで 一緒にお腹をこわしたこと 山奥で 希少なつつじを探したこと

 そして お父さんの炭焼きや 倉庫造りを 手伝ったことなど

 

 T君の家での 出来事は 若い時代を創ってくれた 宝物

 ふるさとに 帰れないとき T君の家が 実家だったのだ 

                                

                                  (続く) 

 

           【T君一家が住んだ ふるさとの風景に似て】

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