やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

霊園風景 その53   「 ‥この頃のやす君 」

 

「‥この頃のやす君」

 

   彼が ここ  「やすらぎ霊園」に来たのは 新しい区画が誕生した時 だったから 

 もうすぐ7年になる

 最初の頃は 訪れる人も 少なくて 寂しい思いをしたことだろう 

 晴れた日や 花木が鮮やかな時は 少しは気分も和らいだと 思うけど

 

 雨や雪が降り 暑かったり 寒かったり 時には台風や 地震も来たりして

 そんな時は 人のざわめきもない中 ひとりで じっと 耐えるしかない

 

 それでも 春夏秋冬の 繰り返しの中で 少しづつ 見るものや聞くものが

 変わってきた

 7年の歳月は 木々を太らせ 花々を鮮やかにし 

 なによりも お墓の数とともに 来園者も多くなり 

 静寂さより 賑わいの方が 増えてきた

 

 心なしか やす君も あの頃より 豊かな表情を 見せてくれるようになっている

 彼だって 一人ぼっちの時は それほど好きじゃないと思うし 

 誰かに 声かけたいときも 声かけられたいときも きっとあるに違いない

 僕は 時々 「おはよう」と 挨拶することがある 

 それを ずっと 繰り返していると ときおり 彼の返事が聞こえる気が する

 

 ここで 眠る人たちも 少しずつ増えて お墓の前には 多くのお供えが並ぶ 

 家族でお参りに来る 柔らかな 温かい光景は きっとやす君にも 見えていて

 だから 彼なりに 心ひそかに 喜んでくれている と思う

 

 今日は 晴れの 夕暮れ時 

 向かいや 彼方に見えた 山々の桜も いつか 緑一色になり 

 季節は 晩春から新緑に 衣替えしていく

 日向で くつろぐ やす君  

 動いては いないけれど 心はきっと 躍っている

     

       【 晩春の西日を 背に浴びて 身も心も ゆったりと 】

f:id:yasuragi-reien:20190415142744j:plain

 

 

 

 

f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain「春の野に 心延べむと思うどち 来し今日の日は 暮れずもあらぬか」

 

www.yasuragi-reien.jp