やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

霊園風景 その58  「‥やすこさんの物語  1/3」

 

 「‥やすこさんの物語 1/3」

 

       以前 紹介しましたが 芝生墓地の前で くつろいでいる 

  本当に やさしい笑顔をしている モニュメントが やす君です

 

  彼の周りには 多くのともだちが います  

  そして 少し離れた場所には 実は やすこさん という 

  やす君の妹が いるのです

 

  ふたりは 離れていることもあり  めったに 言葉を交わすことはありません が

  心の優しい 兄と妹は これまで何度も 辛いことや 苦しいことを 助け合って

  頑張ってきたのです

  ですから 何も言わなくても お互いのことは 良くわかっています

  

  二人は 中国の工場で 誕生しました

  本当は お父さんとお母さん そして やす君とやすこさんの 4人家族

  作った職人さんは とても 家族思いで 

  親子の顔を 誰が見ても 親子とわかるように 似せてくれたのです

 

  だけど お父さんとお母さんは 間もなくして 売られていき 

  やす君と やすこさんだけが 残っていました

  そして その朝 やす君は ほかの荷物と一緒に トラックの荷台に 

  積み込まれました

  彼は これから 遠い 日本という国まで 行かなければならないのです

 

  そのとき やすこさんは 倉庫の隅に 置かれたままでした

  彼女は この時の売買契約に 入ってはいませんでしたから

  でも 願いが通じました‥‥

  そこに あの職人さんが 通りかかり やすこさんを手に取ると 

  「この子も頼む‥」 といって いくばくかのお金を 運転手さんに渡し

  やす君の隣に 座らせてくれたのです

  

  職人さんは 可愛がっていた娘さんを 亡くしたばかりでしたから

  やすこさんだけが ひとり 残ることは 耐えられなかったのでしょう

  そのやさしい 気持ちが ふたりの別れを 防いでくれました

 

  こうして ふたりは いっしょに 日本への 長い旅に出ました

  2011年の 秋のことでした            

                              (続く)

  

    

 

    ヒペリカムの花に 包まれて やすこさん】

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 f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain 「夏山を 見上げて笑し 兄妹か」

 

 

 

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