やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

霊園風景 その62  「‥夏が連れて行く」

 

  「‥夏が連れて行く」

 

   いつの間にか 盆トンボが 姿を消し

   ヒグラシの鳴き声が 小さく 細く なっていきます

   お盆にお供えした 花たちも 華やかさが なくなり

   お参りする人たちも いつもの光景に 戻っていき

   あの 賑わいが 夢であったかのような 静かな霊園の この頃です

 

   夏は とても罪つくりな 季節です

   春の柔らかく 暖かい色を 瞬く間に 灼熱の色に変え

   美しく咲き誇っていた 花々の 鮮やか色を 奪い取り

   爽やかな風の香りを 息切れするかのような 匂いに うつしてしまう

   

   それでも 夏には  どの季節にも 代えがたい ものも あります

   咲き誇る 百日紅や葵などの 強さと 美しさを 際立たせる 真上の太陽

   足早に来て 去った夕立のあとに 届けてくれる 心地良い 涼風

   彼方の青空に 立ち上がる 入道雲の 逞しさと 潔さ そして清潔感

 

   そうした いくつもの 出来事が 夏の終わりとともに 去っていきます

   過ぎてしまえば どれもこれもが なつかしく 寂しくさえ 思えてしまう

   それは 次に逢えるまでの 待ち遠しさ そして 数えるほどの 残された機会   

             

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   夏の名残りを 探していますが‥   見つかりません

   トンボも ヒグラシも 夕立も 入道雲

   ぜーんぶ 夏が連れて行ってしまいました

   わずかに残ったのは 百日紅や葵などの 花々たち

   少し柔らかくなった 陽射しの中 夏への別れを 惜しんでいるかのように

   赤や紫の花々が 輝いてくれています

 

   季節は 秋へ‥

   足音も立てずに 緑と風が 優しくなっていき

   いつの間にか 空さえも ふゎっとした 青色になったようで 

   ‥もうすぐ お彼岸です

 

 

 

 

                                      【ほうずきと 青い服の少女】

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain「雨上がり 鬼灯散りて 宵の墓」   

  

   

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