やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.97 「‥夢の風景 ~花々への賛歌」

 「~花々への賛歌」

 

  冬明けぬ みぞれ交じりの 雨が降る 新しい年の朝

  山椿の花が 濡れて 赤く浮かび 来る

  人気のない 静けさだけの 山間地にも 隠れるかのように 黙って開く

  この時期に咲く 花々は 芯の据わった 心根の強い 濃い色が多い

  人間は 縮こまってばかり 誰かに  何かに 頼りきり どんどん 弱くなるのに

  この花たちは 何も変わらず 同じ逞しさで 同じ彩を 映し出していく 

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  山々の雪が解け 川を潤し 水辺の生き物たちが 目を覚ます 春

  野や山に そして 町や村に 桜便りが 届いてくる

  老若男女 挙って 群がり 朝から夜まで 愛でている 

  この時期に咲く 花々は 柔らかく 温かな 色合いが 多い 

  そして 別れも告げず 瞬く間に 風に舞い上がり 土に還る

  まるで 浮かれ人たちを あざ笑うかのように 消えていくf:id:yasuragi-reien:20201207145823p:plain      

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  誰もが 日差しを避けて 涼を求める うだるような 夏の日々

  百日紅の桃色が 峻烈な中にも 暑さを遮るかのように 彩を放つ

  青空と 太陽を 味方につけて より 誇らしげに 光り輝いてくる

  この時期に咲く 花々は 強烈な色彩に 絶対的な 強靭さを 主張する  

  いつ 枯れ果てるのか 呆れるほどに いつまでも 謳歌

  弱り切った人たちへ 「強くなれ!」と 叱咤せんばかりに 主役を務める  

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  山々から麓へ 日を追うごとに 赤や黄色の 紅葉が降りてくる

  その一瞬 自然界が 鮮やかさを身にまとい 空と地までも 染めていく

  冬の冷たさも 春の優しさも 夏の灼熱も 全部まとめて 黄金色に変えていく 

  あちこちに そよぐ たおやかな ダコタゴールドの黄花や 百日草

  この時期に咲く 花々は 風を味方につけて 秋と同居している

  散り始めの頃には 冬の準備をしなさい と 人々へ 囁きかけてくれ     

  いよいよ 丸まっていく背中を 慰めるかのように 冬を押し戻している  

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  年年歳歳 花   相似たり

  歳歳年年 人   同じからず

  何十年 何百年 経とうと 花々は 同じ季節に 同じ花を 咲かせてくれる

  その営みは 不変

  だが 人は変わる 年を経る度に 変わっていく  

  当たり前のごとく 営みは 容易に変遷し 時を戻すことに 抵抗する

  

  花々の 春夏秋冬 時が来れば 芽を出し 花を咲かせ 実を結び 土に帰る

  見事なまでに 単純な繰り返しの 歳月

  人には できない 決してできない その根性も 勇気もない

  変わることのほうが 勇気だ 進歩だと 自負する 多くの人たちには 

  決して 届かないだろう  だが 

  変わらないことの方が より 勇気や根性が 必要なときも あるのではないか

  当たり前に咲く 花々の 真似が できない からこそ 

  あの 花々が 羨ましいと 思えるときも ある‥ 

   

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