やす君のひとり言

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~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.77  「‥夢の風景 ~鐘の音が単調に鳴り響く」

 

  「~鐘の音が単調に鳴り響く」

 

   20にならない 冬だったと 思う

   何気なく聞いている FMから流れた ロシア民謡

       その曲名が 「鐘の音が単協に鳴り響く」 だと 後で知った

   フランツ・レフラ-という ドイツのギター奏者が奏でる音は あの頃 あの町で

   青春の持って行き方が わからずに うろうろしていた 心根に 沁みてきて

   忘れまいと 必死に 口ずさんでいた 記憶が残る

 

   職場に配属して 1年足らず 仕事に慣れず 人に慣れず 町にも慣れず

   身の置き所を 暗闇で探している 時 

   流れた音楽は これ以上 落ち込みようがないほど 重く 寂しく それは 

   行き着くところまで 行けばいい と 開き直り それから 立ち上がれ と

   教えてくれているような そんな気にさせてくれる 音色だった

 

   FM局に ハガキを出して 問い合わせる と

   丁寧に 返事をいただき 曲名だけでなく レコード名も記されている

    間もなくして 届いた そのレコ-ドは それから 毎日のように

   部屋を 寂しく 暗くして 先輩からは 嫌がれれた

   転勤し 結婚し 住所を変わるたびに レコードもお供し 乾燥した日々がある毎に

   傷んだ心を 潤おしてくれていたように 思う

 

   あれから 半世紀

   幾つも積んできた 出来事  決して 戻ることはできない けれども 

   心は 想いは どの時代にも 帰っていくことができる

   音楽に なぞらえると 重ね合わた人生の一コマが 閉じた瞼に よみがえってくる

   この曲や あの曲は 人それぞれの 過ぎた時間を 切り取ってくれる

   それが ゆめであろうと うつつであろうと 現れてくれれば 同じこと

   そこに 愛した人が いてくれれば なんにも 言うことはない 

   一握りの 幸せの中にいて 過ぎゆくときを 愛おしんでいる

   たまには そんなときが あっていい‥

 

 

 

   「鐘の音が 単調に なり響く」   ロシア民謡     訳詩   穂 高  五 郎 

    夕べの鐘 さびしく 林に鳴りわたり

    御者のうた 遠い空 悲しく 消えて行く

    お前も今 どこかで 鐘の音 聞いている

    ひとり聞く 旅の空 引き裂かれし 恋に

    愛の強き 誓いも 虚しく 風が吹き

    御者の歌 いま絶えて 夕べの鐘が鳴る        

    

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