やす君のひとり言

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~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 No31  「‥ もういいね と M先輩」

 

  「‥ もういいね  と M先輩」

 

   20代後半の頃 M先輩は50代前半だった

   地方議会議員の選挙を通じて 先輩を知った

   白髪で 少し小柄で いつも柔和な笑顔を絶やさず

   議論伯仲でも 怒ることはなく とつとつと 自弁を述べていた

   

   みんなからは「仏のMさん」と  尊敬や親しみをもって 呼ばれており

   本当に 仏様のような 優しく心の広い 陰日向のない 人だった

 

   いつのころだっただろう

   生意気なことを しゃべり こっぴどく周りから 非難されたとき

   M先輩から 事務所2階の 別室に呼ばれた

 

   「いいなぁ‥‥  言いたいことを言えて  若い君がうらやましい  

    年を取ると 言いたいことも 言えなくなってねえ 

    正しいと思ったら 遠慮なく言う方がいい 

    言いっぱなしじゃ だめだけどね‥‥」

   

   そんなことを M先輩らしく 笑いながら 慰めつつ 励ましてくれた

   あの人の あの人らしい 説教だったことを 覚えている

 

   

   その後数年して M先輩は 事業所の所長として 離れた街に移り住み

   それから 間もなくして 自らの人生を 自らで終わらせた

   

   その時 ふと 説教してくれた時の M先輩のことを 思い返してみた

   M先輩は あの頃から 多くの悩みを抱えていたのではないか

   優しいから 優しすぎるから 誰にぶつけるでもなく 心がいっぱいになるまで

   一生懸命に 耐え続けていたのではないか と 

   だからこそ 「言いたいことは 言え」 と 説いてくれたのではないか

   あの時の  優しい 笑顔を思い出して 泣いた

 

   2階のM先輩の 机の上には 几帳面らしい 性格そのままに

   奥様宛の 感謝の文がきちんと置かれ  その最後に

   「もう いいね」と 記されていたという

 

   それから 40年近く経つが 

   M先輩は 今も変わらぬ 人生の師として この中に

   生き続けている

 

        

               【先輩‥ 説教いただいた事務所の2階に似ていますか?】

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