やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

霊園風景 その43 「‥散りゆく 秋」

 「‥散りゆく 秋」

 

   あれほどに 騒がしく 暑かった夏が 駆け抜けて

   やっと 落ち着いた 静かな秋が 来た と思ったら

   もう 暦は冬到来を告げています

 

   霊園入口から 奥の方まで 美しく広がっていた 紅葉も

   朝夕の寒さとともに その葉を落とし 寒々しい表情を 見せてきます

   若い頃には 何気なく眺めていた 木々の色模様や変化が この頃 

   とても 愛おしく思えてなりません

   「人の一生は 春にこの世に生をうけ 冬にあの世へと 帰っていく 

   ようなもの まさしく一年ポッキリの人生なんだよ」 と 

   何かの本で 読んだ記憶があります

 

     新芽の息吹きから人生が始まり 夏の灼熱に似た日々の闘いで傷つき 

     鮮やかな紅葉のごとく 最後に ひかり輝いて 静かに一線から退き 

     そして 全てが土に還る冬の訪れとともに 人生の終焉を迎える

 

   だとしたら わたしは 今 どのあたりにいるのでしょうか

   秋の終わりから 冬間近な時期に 差しかかっている 

   と いったところでしょうか 

      残された時間は それほど多くはありません

   冬が来る前に 見るもの 全てに

   それから 多くの人たちに 

   ありがとう の ひとことを 贈らなければなりません

   

     辛い時に 慰めて‥‥ 

     苦しい時に 勇気づけて‥‥ 

     嬉しい時に 花添えて‥‥

     楽しい時に 色染めて‥‥

 

           あなたは いつ 誰に

   どのような 感謝の言葉を 準備していますか?

    

   

 

               【 去りゆく 秋の光 】

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain 「仰ぎ見る 彼方空より 木の実落つ」

  

   

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回顧録 no.42 「‥夢の風景 ~次のゴ-ル」

 

「‥夢の風景 ~次のゴ-ル」

 

  「‥‥‥」

  

  無言のまま 怒りの表情を見せると 曲がった腰を上げて 部屋を出ていく

  破れた襖が 音を立てて 喧嘩腰のように せわしく閉まり

  西日の射す部屋に 冷やかな空気が 一瞬動いたような 気がした

 

  帰りを喜び 穏やかに 笑顔も見せていたが 

  施設の話が出た途端 機嫌が  下り坂になった

  何もしない あんたが 何を言うのか‥‥ 

  黙っていても 顔が 言っている

 

       2年ほど前から 認知症が進み 独り暮らしは むずかしくなっていた

  親せきなどから勧められていたこともあり

    

  「施設に入ったらどうか‥」

  

  などと 説教じみたことを 口にしてしまった  

  後悔の後の 自分を 自分が責めた 

   

  嫁いでから 70年近く 人生の全てを捧げてきた 思い出の詰まるこの家が

  心の拠りどころに 違いないのだ

  日が沈んでいく 同時に どうしょうもない いらだちが膨張してくる

  何か しなければならないのに できない   

  

  そして‥

  

  今の生き様や 帰らぬ過去の 責任を 

  何処かの 誰かに 押し付けようとしている 情けなさ みじめさよ

  生き方の選択も 挑戦する機会も 幾度か あった だが しなかった

  それを決めたのは  自分 それが全てではないのか と 己を戒める 

   色褪せた畳に映る影に向かって 頭を下げた

  「夕食できたよ‥」 と 機嫌の直った声が呼んでいる

  簡単な料理しか作れないが どこにもない 舌がおぼえた なつかしい味

  あと どれくらい あの料理を 味わえるのだろう

 

  大切にしなければ‥‥

 

  ふがいなさや やるせなさの 類をまとめて ふっと 吐き出す

     もう少し 自分に誇れる 生き方を探してみよう 

  夕陽に 後押ししてもらいながら 「よし‥」と つぶやいていた

  

        夢と うつつを 行き来しながら 残された日々を 数えてみる

  年で あと何年  月で あと何か月  日にすれば‥‥

  今からでも 生きた証を 探して見れば

  過去は戻らないが 少しでも 未来は変えられる かも しれない

  残された日が 長いか 短いかは 考えまい 

  たどり着いたところが わたしのゴ-ル       

  

  

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霊園風景 その41 「‥今朝の光景」

「‥今朝の光景」

 

 日一日と 気温が下がり 夏から秋 そして 秋から冬へと 季節が移っていきます

 あの夏の暑さが はるか彼方へ 飛び去って 跡形もなくなり

 やすらぎ霊園の 光景も 一変しました

 

 木々は 緑一色だったのが 雑木の赤や黄と 鮮やかさが 目立つようになり

 敷地内の花たちも 暑さに強い百日草や日日草などが 姿を消して

 冬に立ち向かう パンジ-やビオラ 菜の花などが 色艶を増してきましたし

 芝生も 緑から薄い黄土へと 化粧が落ちたみたいに 褪めてきました

 

 虫たちも 賑やかさの主張から 何となく 静かに 生きてますよ 

 みたいな感じに 落ち着いてきた そんな気がします

 

 青空が とても涼しげに たおやかで 気持ち良さそうに 見えます

 夏の空色には せわしげに動いている 勢いがありますが 

 秋の空色には どこか 落ち着けたような やすらぎがあるから 不思議です

 

 四季の彩りの移ろいは  いつも 私たちに 驚きや感動を 与えてくれるのです

 たとえば‥‥

 

 お休みの昼下がり 公園のベンチで 周りの木々を見渡してみてください

 バスを待つ停車場 横の空き地に咲いている 野菊を愛でてみてください

 歩いて通勤する時 家々に育つ花木類や 草花を 眺めてみてください

  

 決して スマホの世界で味わうことのできない 貴重な時間になります

 

 

【今朝の秋の光景】          ※手前が「芝生墓」 奥が「樹木墓」

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    上の写真は 好評をいただいている 樹木墓と 芝生墓の 今朝の秋の光景です

 高い青空には 点々と 鰯雲が広がり 

 緑と赤や黄色に染まった 木の葉が風に揺れ

 暑さに耐えぬいて 少しづつ 冬色へ向かう 芝生たち  

 思わず 見続けてしまいそうな やさしい朝の光景です

     

 ‥ここには

  静かに眠る 故人たちのやすらぎが 聞こえてきそうです

 ‥そして

  見守る 私たちにも 敬いと感謝の心が 生き続けています

 

 お墓は この世とあの世を 親と子を つなぐ場所でもあります

 

 

 

f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain 「豊作を ねぎらい仰ぐ 鰯雲」 

 

 

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回顧録 no.41 「‥夢の風景 ~み空色のバラ」

 

 「‥夢の風景 ~み空色のバラ~」

 

  小高い山から なだらかな曲線を描く 南向きの斜面があった

  晴れた秋の昼下がり 澄み切った太陽が 柔らかに斜面を照らしている 

   

  水平に造られた 砂利道を 一台の車が 埃を立てて 走ってくる

  ボンネットの長い 古めかしいトラックは 悪態をついているかのような音を

  響かせて 通り過ぎた

   

  トラックの音が やさしくなったところには 家々が 点在しており

  どの家も よく似ていた

  藁ぶきの 平屋で 四方を生垣が囲んでおり 表札は ない

  違いがあるとすれば 家を彩る花々だろうか

  コスモスが揺れている家 百日草が占領している家 野菊が玄関脇を飾る家

  そして 一軒だけは 秋らしく 冷やかにバラたちが 咲き誇っている

   

  トラックは そのバラの家の前で 止まった

  降りてきたのは 背の低い 小太りの男で 色褪せた作業服を纏っている

  破れかけの作業帽を 深々と被った その男は 表情も見せずに 

  トラックの助手席から 荷物を取り出した 

  

       それは バラの花束で  

  光に映える その色は 明るく澄んでおり  

  秋の青空のような み空色だった

  

  男は そのバラを 無造作に 手に下げると 声もかけずに 家に入っていく

  「‥‥」  

  物音はなく こもれる陽射しの中で 木の葉が揺れて 散り 

  やがて 男が出てくる 

  そして 振り返ることもなく トラックに乗り込むと 走り去っていった

  風の中に埃が舞い上がり 静寂さが あとに続く

 

  男の去った家に 言葉をかけるが 返事はない

  思い切って ガラス戸の玄関を引くと 音もなく開いた

  なじんでいるかのように 体は 勝手に進んでいく 

  窓際にベッドが置かれた その部屋には 小さな仏壇があり 

  そこに み空色のバラが飾られていた

 

  線香の火と 香りの残る 仏壇の前に 置かれた写真

  数年前に逝った 妻が 微笑む

 

  開け放たれた縁側から 見える山々の風景にも 微かに見覚えがあった

  

       真正面に居座り 輝きを誇る 銀杏の黄金色  

  尾根に並んで 散り葉を魅せる ブナの木々 

  敷き詰めたように 赤黄が彩る 紅葉たち

    そして 庭に咲く バラたちの 色と香り

  

       ふたりは そうした美しさや やさしさに ずっと 癒されてきた 

  ‥‥確かな記憶が蘇ってくる

  

  銀杏の大木が 語りかけてくる

  「どうだい? 街のひとり暮らしは」

  「命日にお参りとは えらいねぇ」

  「だけど 奥さん いつも寂しそうだよ」

 

  そうか 今日は 妻の命日なのだ 

  そして ここは わたしの家なのだ 

  それから ‥‥ 

  トラックの男は わたしだったのだ と 気づく

 

 

  過ぎてゆく日々の中 晴れの夕暮れ時に見た 秋の夢  

  

 

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霊園風景 その40 「‥お墓参り」

 

「‥‥お墓参り」

   やすらぎ霊園は、2000年にこの地に開設しました。

 写真のお墓区画は、最も早く販売した「規格墓」です。 

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 おかげさまで、短い期間で多くのお客さまに契約いただき、それから20年近く

 経過し、周りの緑や花とも美しく調和してきました。

  

 秋のお彼岸には、多くのご家族がお参りに来られました。

 親子で、兄弟で、3世代で、お墓をきれいにして、お花を捧げて頭を垂れる、

 そうした光景は、とてもなつかしく、うれしくもあります。

 

 「供養」の方法は人それぞれですが、古くから家系で受け継がれてきた「お墓」

 という形で供養することは、とてもいい慣習だと思います。

 多くの人々は、お墓には先祖や亡くなった人の霊があり、わたしたちを見守って

 くれていると信じています。

 だからこそ、命日やお彼岸などにお墓に足を運び、敬い、感謝するのだと思います。

 それが、わたしたちにできる功徳のひとつなのではないでしょうか。

 

 お釈迦様は

 「善きことをなせる者は、この世にても喜び、死後にも喜び、何れにても喜ぶ」と、 

 説いておられます。

 

 日々の暮らしの中で、生きていることに感謝して、できる功徳を行うこと、

 その実践を重ね、やがて、いつの日か、私たちは心穏やかに

 彼岸へ、先祖や亡き人の元へ、いくことができるような気がするのです。

 

 お墓と心をきれいにし、先祖や亡き人を敬い、生きている家族や自分に感謝する、

 お墓参りという、つながれてきたささやかな行いにこそ、とても大切なことが

 包まれていると思います。

 

 核家族化や少子化が進み お墓の継承が難しくなってきました

 散骨や納骨堂など 子や孫たちに負担をかけない 手間のかからない

 供養の仕方が増えてきたのも そうした背景が大きいと思われます

 

 それでも 家族そろって 墓地や霊園に足を運ぶ 

 先祖や亡くなった家族に 逢えるから‥‥ 

 お墓は 幸せな時間を つくることができる場所だと 信じます

 

    どうぞ 皆さまおそろいで やすらぎ霊園にお越しください

 ここには 四季折々の花々が 変わらぬ美しさを 届けてくれています

 

                                       【 空から見た やすらぎ霊園風景 】

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain 「にぎわいの 声に浮かれて 曼珠沙華」 

  

 

 

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回顧録 no.40  「‥夢の風景 ~ 70年前」

 

 「‥夢の風景 ~70年前」

 

  蛇のような 曲りが続き 轍の残る 砂利道だったと思う

 

  暑い夏の午後 灼熱の太陽に照らされた その道を

  あえぎながら 歩いていく 

  上るほどに きつさは増したが 

  それでも 峠付近には 涼しさをもたらす 風があって

  道の両脇に立つ 細い木々の枝が わずかながらに 揺れている

 

  何歩も前を 父らしい 痩せた人が歩いていた

  記憶にある父ではなく 古い写真で見た 若い頃の顔に似ていた

  背中には古びた リュックが のしかかり 汗と汚れの染みついた

  カ-キ色らしい上下服を纏い 大股に 確かな足取りを 繰り返していく

 

  どこから 来たのだろう どこへ 行くのだろう

  峠の向こうには 山々が続き その遥か向こうには 

  希望が待っているのか それとも‥‥

  その人は 無言で めざす地への歩みを 進めていた

 

       

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  やがて 下り坂になると 少しずつ 人々のなりわいが 漂ってくる

  それは 木々の間から漏れてくる 煙や匂いであったり

  それは 耕した跡のうかがえる わずかな平地であったり

 

  そして 急に林が開けると そこには 藁ぶきの家々が 並んでいた

  道の両脇には畑があり 伸び放題の草たちが暑さに萎れ 無造作に草花が咲く  

  父は その道から 脇の小道に入ると 奥へと進み 

  しばらくして 小道のはずれに立つ 家の前で 歩みを止めた

 

  その小さな家は 古ぼけた屋根に 雑草が茂っており

  雑然として 手入れの行き届いていない玄関先には 

  褪せた ナスやキュウリなどの 野菜たちが 竹籠に収まっている

 

  「ただいま 帰りました」

 

  大きな声で 家に挨拶すると 父は 深々と頭を下げた

  ガタッと 壊れた音をさせ 引き戸が開いて 女性が飛び出してきた

  もんぺ姿の地味な衣装をまとった それは 写真で見た 若い時の母だった

  そして 子どもの頃 いつも見ていた あの祖母が後に続いた

 

  「‥‥‥」 

  「‥‥‥」

  

  お互いに顔を見合わせたまま 夫婦と親子は 黙って 泣いていた

  そうか!

  父は 戦争が終わって 帰ってきたのだ

  ここは 父の故郷なのだ 私の故郷なのだ

 

  まだ 生まれてもいない私 

  不思議な気持ちで 父や母や祖母になるであろう 家族を見つめていた

  そして あと数年後に 暮らすことになる その家も 

  記憶の中に 焼きつけようと 目を凝らす 

  

  やがて‥‥

  父や母や祖母が 視界から 薄らいでいった

 

   

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  夏の終わり 

  開け放った窓からの 生温い風と 

  カ-テンから漏れてくる 朝日が

  70数年後の 今へ 呼び戻しにくる  

  いつまで 夢を見ることが できるのだろうか と 思う今朝

  

  すでに 祖母も父も 彼岸へ渡り  母は 老いが進む

 

 

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霊園風景 その39   「‥この青き世界」

 

  「‥この青き世界」

 

  四季を問わずに 青く輝く花は そう多くはありません

        

  春から秋にかけて 鮮やかに咲いてくれるバラですが 薄いブル-はあるものの

  空色を濃くしたような 青色の花は 出現していません

  

  凍てつく冬が過ぎ 春の足跡が聞こえてくると 凛とした 椿の花芽が

  膨らんできますが この花にも 青色は 存在していないのです

  

  散る桜を待って 一斉に咲く 色とりどりのチュ-リップにも 青は不在です

 

  うだるような灼熱の 太陽が照りつける夏  

  やすらぎ霊園の あちこちで いろんな花が 咲いてくれていますが

  赤は 暑さの上に暑さが来るようで  白は 高貴なイメ-ジが強すぎて

  黄は 暑さと涼しさの中間っぽく  オレンジは暑さに湿気が加わったような

  

  比べて 

       青は 澄んだ空の青や 映す海の青に似て 

  涼しさを 届けてくれる 代表格の 花色だと思います

 

  今 霊園で見ることのできる 美しい青花といえば  ちょう豆 でしょうか

  ツル性のこの花は 4月初旬から 少しずつ時期をずらして種を蒔くと 

  7月頃から秋口まで 美しい花を楽しむことができますし、日除けとしても

  重宝します

  蝶のように 咲き乱れるその姿は 見る人に 一服の涼を 与えてくれます

 

  種を採取し 冷蔵庫(野菜室)で保存しておき  来春に種まきすれば

  毎年 楽しむことができます。

  やすらぎ霊園にも 種を保存していますので お好きな方は

  いつでもお立ち寄りください 無料で差し上げています 

  

   

  

    【秋雨に打たれて なお鮮やかな ちょう豆の花】

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain「真っ黒に 走りゆく子が 夏を追い」

 

   

 

 

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