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~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録no.2 【 ‥温泉町と祖母のこと 2/4 】

 

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   「‥温泉町と祖母のこと 2/4

 

 「一代で家を潰した」と祖母が恨みのように言っていた祖父は 自分が生まれたときは

すでに故人であり 父や母もあまり祖父について語ることはなかった 

「潰した」ことを口に出したところで それが慰めにも 何の役にも立たないことが 

嫌というほど身についていたのだろう 

 

しかし 人生の多くをともに過ごしてきた祖母は 祖父の置き土産が今の暮らしぶりで

あることを 隠そうとはしなかった 

それを父や母の前ではなく 孫の私に独り言のように語りかけてきたことを覚えている 

 

ほとんど涙を見せない祖母だったが 祖父の酔いどれ話をする時は 悔しさと

情けなさと 寂しさが 入れ混じったような涙顔になるのだった 

 

毎朝 仏壇の前で 言い切れなかった愚痴をぶつけていたのか 

それとも そんな自分を悔いて 詫びていたのか

 

丸まった小さな祖母の背中を 布団の中から眺めていた 冬の朝の思い出  (続く)                                            

  

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