やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no. 62  「‥夢の風景  ~サラのこと」

 

 ~ サラのこと」 

  

 サラは 中学生だった娘が妻にねだり はじめて我が家に迎えた    雌の子犬だった 

    コリーを小さくしたシェルティという種類で 名前はペルシャ語

 サライ(宿)から いただいた

 家族にはとても従順だったが 他の犬との相性はすこぶる悪く  見向きもせず

 子供たちに 触れられることも嫌がり

 後で 小さい頃からのしつけが大事と 聞かされたが 遅かった

 

 音にも敏感で 特に雷が鳴ると 一目散に妻の膝の上に乗り 怖そうに震え

 そんなサラを 妻は やさしく抱きしめていた 

 家族の一員となったサラは 娘が家を出ると 一日の多くを 妻と過ごした

 おそらく 私より妻の方を何倍も 好きだったと思う 

 

 妻も どこに行くにもサラ同伴であり 宿泊は極力避けていた

 そして いくつもの四季を ともに暮らして 15歳の春に 我が家を去った

 亡くなるまでの3か月ほどは 一日中妻がサラの世話をし 夜も添い寝していた

 

 最期を看取ったのも妻であり 室内のあちこちに残る サラの軌跡を追っては

 寂しがっていた 見かねて また飼おうかと勧めたが 最後を見るのがつらいし 

 自分が先かもしれないし と 半分笑い 半分自分に  言い聞かせるように 答えた

  

   そして‥

 サラが逝って4年後に 妻が 彼岸へ渡っていった

 

 妻とサラがよく遊んだ 場所に 佇むことがある

 故郷へ続く国道から少し入った その草原は 九重の麓に抱かれ 阿蘇を見渡せる

 日当たりのいい場所で さわやかな 風が吹き渡っていく 大自然の真ん中

 春から冬への彩りと お兄さんが車販売する 美味しいコーヒーの 香りが漂う

   そこに‥  妻と戯れるサラがいる

 

 柔らかな赤毛をなびかせて 緑の中を 元気に駆ける サラ 

 微笑みながら 後を追う 妻  

 ほんのひととき あの頃の 夢を見る‥

 

 今も サラは 妻に寄り添って 仲良く遊んでいると 思う 

 

                                                                           【 サラへ 元気ですか? 】

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