やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.65   「‥夢の風景  ~S先生の鞭  1/3」

 「~S先生の鞭    1/3」

 

  校舎の西側 一番端の教室で学んでいた 小学校4年生の時

 

  1年生から3年生までは 同じ女先生が担任 とても優しかった 

  4年生になり 担任が 男先生に代わった

  50歳くらいだったか S先生は 細長い顔 下がり気味の目じり 少し出た顎

       よれよれの スーツをまとって ほとんど 笑うこともなく 

  冗談を言えるような雰囲気は 持っていなかった 

  街の家族と離れて 近くの宿舎に 単身で住んでおり 

  毎朝 僕たちが 学校に着く時を 見計らっているかのように 

  いつも 校門前で 一緒になった  と いうより 待っていたのだ

 

  「おはよう」 

  怒ったような顔 低い声で 呼びかけてくる

  「おはようございます」

  なるべく 顔を見ないようにして 足早に 離れていく

  そうしないと 

  「オイ!」

  と 呼び止められ 誰かが 犠牲になって 必ず 何か 言われていたから

 

  あの頃の冬は 本当に寒く 手足はいつも かじかんでおり 

  教室には 石炭を焚く ストーブが置かれていたが

  なぜだか 校舎前の 神社へ通じる階段傍にあった 水路から引いた水溜

  そこに 氷が張った時しか 使わなかった 

 

  石炭を燃やすために使う薪は 川向うの山から集めた 杉の枯枝であり 

  4年生から6年生までの児童たちが 交代で始業前に 拾いに行っていた

  ストーブを焚くときは その日の始業前に 薪拾いに行かなければならない

  そうした 決まりだったのだ

 

  2月に入っていたと思う 

  その朝は あらゆる生き物が 凍るのではないかと 思えるほどの 寒さで

  学校へ行く道すがら 必死に体を動かしても 容赦ないほどに 寒さは襲い

  校舎前の水溜はもちろん 水路の水も 厚い氷で 覆われていた

  そして その日の 枝集め当番は 僕たち4年生だった

                                        (続く)

  

    

 

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