やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.66  「‥夢の風景  ~S先生の鞭 2/3」

 

  「~S先生の鞭   2/3」

 

   運動場から 堤防を抜けると 細い橋(丸太?)が 川を横切っている

   川幅は 20mくらい あったろうか

   途中に何箇所か 石を積み その間を 削った丸太が つないであり

   それは 少し水が増えると すぐに流されるほどの 手づくり橋だった

   この時期 水は少なかったが それでも 深いところは子供の 腰くらいまで

   はあったと 思う

 

   間隔を開けて 橋を渡り 僕たちは山に向かい

   山の中腹あたりから 立ち並んでいる杉林の中に入り 思い思いに 枯枝を拾う

   持てるだけの枝を持つと それぞれに 学校へ引き返していく

 

   僕の前を 歩いていたのは Mさん 一番気になる存在 

   僕の後を 歩いていたのは Kくん 一番仲のいい存在

      「‥‥」

   橋を 渡っている途中 Kくんが 何か 話かけてきた が 良く聞こえない

   「何?」

          「‥‥」

   僕はつい 勢いよく 後ろを 振り向いてしまい 枯枝も一緒に 回り

   何かに 当ったと思ったら 

   「あっ!」 

   声に続いて バシャッと 冷たい音がした 運悪く深い場所で 

   Mさんは 腰まで水に浸かり 頭からずぶ濡れで 寒さもあってか

   声も出さず 鳴きそうな顔で 僕を睨んでいる 

   「コラッ」

   と いう声の主は 運悪く Mさんの前を 歩いていた S先生

   飛び込むと Mさんを 引き上げて 職員室へ行くよう 促した

   

   「ついてきなさい」 と 二人を 校舎の西側壁面に 連れて行く

   そこは みんなが「お仕置き場」と呼ぶ S先生お気に入りの場所で

   大きなバケツの中には 煙草の吸殻が いつも いっぱい積もっていた

   「ふたり 何か 言うことは」

    「‥‥」

     僕は ずっと黙って 煙草の吸殻を 目で数えていた   

   「僕が悪いんです S君に 何回も声かけたから」

   「君は?」

   「‥‥」

   「君に聞いているが?」

   「‥‥」

   「向こうを向きなさい!」

 

   そう言うと 先生は 壁に吊ってある 竹の鞭を 手に取った

 

                             (続く)

 

 

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