「~辛い時があればこそ」
生きてきた道程で ひとつ 後悔を上げるとすれば ある戦いに挑んで 負けた あのとき
乞われて 決意し 1年以上の時間と 力を 費やして 戦った記憶
そして 負けて 初めて 分かったことがある
真実に見えていたことが 真実ではなかったこと
誠実だと思っていたことが 誠実ではなかったこと
だが それらは どこの世界にも そして 誰の身の上にも 起きること だと 知った
恨みや 辛みは いっときのことで 時の流れの重なりは 思いも変えていく
消しゴムで 消すかのように 記憶は 色褪せていき 全てが許せる 心根に変わっていく
さらに 時が過ぎれば 自分の未熟さが 見えてくる
誰のせいでもなく 全てが己の責任だと知る
頭を垂れ 謝らなければならない 人々がいる
その人も そのひとりだった
回りの人々から 戦いの記憶が 消されつつあり 話題にも 上らなくなった頃
その人から 紙切れ一枚に 手書きされた 言葉をいただく
何度も読み返すうちに 記された文字たちが 次への挑戦へ決意させる 道しるべになった
感謝する機会をと 願っていたが まもなくして彼岸に渡り 叶わなかった
いつか 逢える日が 来ることを 願っている‥‥
「紙きれ の 言葉」
「 もし 君が落胆することがあったら この男のことを考えて欲しい 」
・ 小学校を中退した
・ 田舎で雑貨屋を営んだ 破産し 借金を返すのに15年かかった
・ 妻をめとった 不幸な結婚だった
・ 下院に立候補 2回落選 上院に立候補 2回落選
・ 彼は 歴史に残る名演説をぶった だが 聴衆は無関心
・ 新聞には 毎日たたかれ 国の半分から嫌われた
・ こんな有様にもかかわらず 君には想像して欲しい
・ 世界中いたるところの どんなに多くの人々が
この不器用で 不細工な むっつり者に 啓発されたか と いうことを
・ その男は 自分の名前を いとも簡単にサインしていた
「 A・リンカーン 」と
「アメリカの心」 グレー・マター