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~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録no.27 「‥‥寒い国で出逢った通訳のIさん  2/5」

前回までのお話はこちら↓

yasuragi-reien.hatenablog.jp

 

 

 

「‥‥寒い国で出逢った通訳のIさん  2/5 」

 

遅い夕食をホテルで済ませ 事務局は 明日早朝からの 「連帯」訪問の打ち合わせ

時間割や分担 レクチャ-内容などを確認し やっと 解散かと 思いきや 

さんが やさしく ひとこと 

‥‥この雪ですと 飛行機が 遅れることや 欠航することが あります

 

確かに 

少しの沈黙の後 団長がひとこと 

‥‥遅れることになれば お前一人で行ってこい‥‥ 

 

「連帯」訪問は 午後の早い時間帯で終わり その後に 別の予定が入っており

しかも それは団長が最も希望している行事であり 天秤に掛ければ 

後の 予定の方がはるかに 重たかったのだ 少なくとも 団長にとっては‥‥

定刻に飛ばなければ ひとりで表敬訪問することになる

 

‥‥雪よ 止まれ‥‥ ワルシャワの 限りなく暗い街並みを眺めつつ 祈っていた

 

翌朝のワルシャワは 予想どおり 願いを裏切り 雪で覆われて

行き交う車も 降り続く雪の中で どこかしら 寒く感じられる 光景

Iさんからの ☎

‥‥欠航ではないのですが 少し遅れるそうです‥‥

ワルシャワの北 バルト海に面したグダニスクまで 時間にして約2時間ほど

ひとりで 行くしかない

朝食も慌ただしく 済ませ 添乗員Sさんと 通訳Iさんと 3人で空港へ

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確かに 飛行機はそこにあった

博物館の方が ふさわしいような 古いプロペラ機が 滑走路で 雪と戯れている

‥‥いつ飛ぶかわからない‥‥

そっけない窓口対応を受け 小さなコ-ヒショップで コ-ヒ-を頼む

いかにも苦そうな液体には なにやら細かい粒が浮いており

‥‥こうやって飲むんです‥‥

Iさんは スプ-ンで粉を隅に押しやり 器用に避けて飲んでいる

この国には 物資が不足していて コ-ヒ-のフィルターがない という

砂糖も ついていない

 

降り続く雪と 古いプロペラ機 そして フィルタ-なしのコ-ヒ- 持て余す時間

それらが 口の中の苦みと 重なって どうしても 気持ちは沈んでいく  (続く) 

 

 

 

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