やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

回顧録 no.70 「‥夢の風景 ~ 愛すべき シー」

 

  「~ 愛すべき シー」

 

  「長い間 可愛がってくれて ありがとうございました」

  休みの日の朝 庭先で 隣のお兄ちゃんが 頭を下げ

  「昨日 シーちゃんが亡くなりました‥」

  うつむき加減で 語りかけてくる

  「急に元気がなくなって 病院に行ったんですど 腎不全で ダメでした」

 

  8年ほど前になる

  妻が いつも玄関前に うずくまっている シルバー一色の猫を見て 寒くて 

  可愛そうだからと 中に入れようとしたが すぐに出てしまう という

  しかたなく ダンボ-ルで 小屋をつくり

  毛布を入れて いつでも 出入りできるようにしていた

  気に入ったのだろう 朝見ると くるまって寝ている

  元々は野良猫だったらしいが 優しいお隣のお兄ちゃんが 室内で飼い始めた

  しかし すでに飼っていた 他の猫との折り合いが悪く ほとんど外にいたらしい

  

  ある朝 妻が呼ぶ 

  見ると 小屋の中に 3匹の子猫がいて 母親のそばで眠っている

  そういえば 少しお腹が大きいような気がしていたが‥ 

  早いうちに家の中で飼った方が 人に慣れると  勧められ 

  お兄ちゃんの了解を得て 子猫を 家の中で飼い始めた

  世話するのは 妻の仕事だったが 愛犬を亡くした後 と いうこともあり

  うれしそうに 3匹と遊んでいた

  

  そして 母猫のシーは お兄ちゃんに話して 妻の年金?で 避妊手術した

  先生は 「感心ですな!」  1泊2日 格安の料金だった

  それから 子猫の飼い主探し 勤務先などにもお願いし 

  諸費用はこちら負担 で 無事に それぞれの家庭に 引き取られていった

 

  その時の気分次第で お兄ちゃん家の 縁側で寝転んでいたり

  こちらのベンチで日向ぼっこしたり たまには 庭いじりの傍で まったり

  お腹が空いているときには ゴミ捨てまでついてくる 時おり 鳴きながら

  とても賢かった  道は端しか歩かないし 絶対飛び出さない

  犬が来ても 見下すかのように 整然としている

  近所でも可愛がられており 5軒ほど 行きつけのお家があったらしく

  いつも 美味しいものを いただいていたに違いない と思う

  「この頃 安いのは食べないんです」  なんて お兄ちゃんがこぼしていたから

 

  妻が亡くなった後も 僕は シーを可愛がった

  妻の気持ちに 応えたかったし 何よりも いつも 自然体で たまにしか 

  返事をしてくれず 「ニャー」といって 笑う シーが大好きだった

  今朝も いつもどおり 食事と水を 庭先に置き シーの鳴き声を 待っている

  もう一度 あの子供たちに 逢わせてあげたかったな と 思いながら‥

 

 

                 【2016年春 イヤダ!といわんばかり シー】

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