やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

霊園風景 その60 「‥やすこさんの物語  3/3」

 

 「‥やすこさんの物語 3/3」

 

  やすらぎ霊園へ向かう  その前に 船から トラックに移らなければなりません

  次々と 運び出されて いく石たち 

  やす君も 箱詰めされたまま 船から降ろされて 大きなトラックに

  積み込まれていきました

  

  やすこさんが心配です

  でも‥ 大丈夫でした 

  あの船員さんが 真っ先に やすこさんを 手に持って 船を降りていました

  「大きな箱たちに 潰されたり 壊されてしまう」 と 思ったのか 

  ここでも やすこさんは 優しい気持ちを持った 船員さんのおかげで 

  無事 トラックに移ることができたのです       

 

   工場を出発して 2週間以上過ぎ ようやく 旅も 終りに 近づいてきました

  トラックは その日の夕刻 大分市に到着

  そして 翌朝 抜けるような 秋の青空の下 小気味良い排気音を立てて

  やすらぎ霊園に入りました

 

  倉庫の前で 待っていたのは 石材店のMさん 有名な堅物の人です

  やすらぎ霊園の注文と 数に間違いないか 壊れていないか など  

  厳しい目で 梱包を解いた 石たちを チェックしていきます

  そして 最後に 古い毛布に 包まれた やすこさんが 目に止まりました

  

  開けるや否や 「なんだこれは? 注文していないぞ!」

  大きな声で 運転手さんを 問い質しました

  でも‥ 何も知らない 運転手さんに 説明できる訳がありません 

  やすこさんも 不安で つい「お願い‥‥」と 叫んでしまい

  その声に 振り向いた やす君は やすこさんが 目の中に入り

  「あっ!」と 大きな声を上げていました

  兄弟は 見つめ合っていますが Mさんには わかるはずもなく 

  運転手さんに 「持って帰れ!」と まで 言い放ちます

 

  そこに

  「何か ありましたか?」

  と 声をかけてきたのが 霊園職員の Nさん

  石材店のMさんが 「ああで‥こうで‥」と 弁解しています

  Nさんは ひとこと

  「うちで 預かりますよ‥」   「え?」

  「兄妹に見えませんか? 一緒にしてあげましょう」 と  

  やす君と やすこさんを並べて やさしく 笑ってくれました  

 

  こうして ふたりは 2011年の晩秋に やすらぎ霊園の 家族となったのです

  たった 2週間程度の旅でしたが 何人もの人たちが 兄妹を助けてくれました

  そして ふたりは その恩は 決して 忘れていません

  これからは ここに来る人たちを 笑顔で迎えることで お返ししていこう と

  決めましたから

  

  月日は流れ やがて 8年になります‥  とても 人気者なのです 

  カエルや トカゲたちがいつも来て 遊んでいますから  

  毎日 変わらない 温かい笑顔で 迎えてくれる 

  ふたりに 「おはよう」を いいます 

  すると‥

  「おはよう」と 応えてくれている ような 気がするのは

  私だけでしょうか?

                                (終り)

 

 

   

      【芝生墓地の前で 迎えてくれる やす君(左)と やすこさん(右)】         

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f:id:yasuragi-reien:20170207092834j:plain 「 父母の笑み 彼方に見えて 鰯雲 」 

  

 

 

 

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