やす君のひとり言

やす君の情景

大分市竹中 花と緑に囲まれた公園墓地                                                           ~やすらぎ霊園~

空のかなたの回顧録

回顧録no.15 「…川の流れと  歩いて逝ったKさん」

「…川の流れと 歩いて逝ったKさん」 Kさんは 20才以上年上の 大先輩で 怒ると怖かったが いつもはやさしく 手取り足取り 熱心に仕事を 教えていただいた その いかつい表情からは 想像しがたいほどに 品のある 美しい文字を書き 毛筆で届く年賀状には いつ…

回顧録no.14 「U君へ グラブとともに・・・」

会社同期のU君は 物静かな性格で 自己主張することは少なく 口より先に体を動かしているような 青年だった 野球が大好きで 時間があると壁を相手に ひとりでキャッチボ-ルをしていた 40を前に 肝炎を発症した 50過ぎて 息子さんの肝臓を移植した 最愛の娘…

回顧録no.13 「先輩Tさんのこと・・・風呂に入れます」

新しく配属になった職場に Tさんがいた 話すことが得意ではなく ちょっとだけ ある喜劇俳優に似ており ユ-モラスな表情 と笑顔が特徴の 親しみやすい先輩だった Tさんは書くことも苦手で 仕事の報告書などは多くがひらがなで 書き方も自分流に 並べており…

回顧録no.12 「ひょうひょうと生きた父のこと 4/4」

健康で 風邪さえひいたことのない父だったが 75を前にして体の不調を訴えた 近くの医院ではわからず 街の総合病院で検査した結果 末期の膵臓癌で 余命1年余 りと診断された 父は 故郷での治療を希望し 村の診療所に入所した 少しずつ弱っていったが 悔い…

回顧録no.10 「ひょうひょうと生きた父のこと  2/4」

裏表のない父は 地域の中では とても評判が良かった 父に相談すると いつもニコニコ顔で 「それがいい」と返す 違ったことを言っても 「それもいい」と返す 何回言っても いつも「それもいい」という返事しか返ってこない 当てになるようで ならないのだけれ…

回顧録no.9 「ひょうひょうと生きた父のこと 1/4」

そばにいても 気がつかないくらい 寡黙な父で 静かにあぐらをかき 母はもちろん 子供に対しても 怒ることも 手を上げることもなかった ゆっくりと 音を立てずに歩く 穏やかな雰囲気を持った人だった 先の戦争で招集されたが 戦地に行くことはなく 南九州で終…

回顧録no.8 「温泉町のA君のこと   4/4」

↓ 前回までのお話はこちら yasuragi-reien.hatenablog.jp あの温泉町が遠のいてから 10年以上が過ぎ 社会人となって間もない頃 ふとした便りで A君が近くの温泉町で働いていると聞いた 両親も元気で一緒に暮らしているという なつかしさに押されて電話を入…

回顧録no.7 「温泉町のA君のこと  3/4」

前回までのお話はこちら↓ yasuragi-reien.hatenablog.jp 祖母と温泉町に行った時は 必ずA君の家に遊びに行き いつもと同じように夏休み や冬休みを過ごし ずっと変わらない日々が続くと思っていた しかし それから間もなくして 夏休みの間にA君はいなくな…

回顧録no.6 「温泉町のA君のこと  2/4 」

前回までのお話はこちら↓ yasuragi-reien.hatenablog.jp その温泉町は町の中央を川が流れ 両側には高い山が迫るわずかな平地に 多くの旅 館が軒を並べていた A君の住む家は 高台に立つ狭い平屋の住居で 庭のすぐ向こうには崖がせまってい たし その崖は大雨…

回顧録no.5 「温泉町のA君のこと 1/4」

祖母と行く温泉町での楽しみのひとつは 2人の従兄弟との遊びだった 特に一つ下の従兄弟とは年が近いこともあり 一日中一緒に遊んでいた記憶がある 大雨が降った後の川岸脇のくぼ地には いろんな川魚が取り残されていて そこに子供たちが入って 我先にと手あ…

回顧録 no.4 【温泉町と祖母のこと 4/4】

前回までの記事はこちら↓ yasuragi-reien.hatenablog.jp 娘の住む温泉町ですごす時の 祖母の表情は明るく 滞在中は時を惜しむかのように 親しんだ銭湯に足を運んでいた 家から歩いて10分ほどの田んぼの中に そこだけ 眩い灯りがたなびいて 誰でも 自由に利用…

回顧録no.3 【温泉町と祖母のこと 3/4】

前回までの記事はこちら↓ yasuragi-reien.hatenablog.jp 豊かさから貧しさへ 生活を変えてきた祖母の唯一の楽しみが 娘が嫁いでいる 温泉町へ行くことだった わずかばかりの田畑つくりの合間 特に体を休められる冬の時期は いつも かわい がってくれた私をお…

回顧録no.2 【 温泉町と祖母のこと 2/4 】

前回の記事はこちら↓ yasuragi-reien.hatenablog.jp 「一代で家を潰した」と祖母が恨みのように言っていた祖父は 自分が生まれたときは すでに故人であり 父や母もあまり祖父について語ることはなかった 「潰した」ことを口に出したところで それが慰めにも …

回顧録no.1 【温泉町と祖母のこと 1/4】

「 幼いころの記憶をたどり 心に残る人との出会いや別れなどから 生きてきたことの幸せや苦しさ 辛さ そして今 生きていることへの想い 積み重ねている時間の中で ふと気づかされる 郷愁へのあこがれ …… あなたの 心のふるさとは どこにありますか 」 立春に…