やす君のひとり言

やす君の情景

~大分市竹中やすらぎ霊園~

空のかなたの回顧録

回顧録 no.100  「‥夢の風景 ~館長との 別れと 出逢い」

「~館長との 別れと 出逢い」 その朝は 冬一番の 寒さだった 平日だったから 時間帯を過ぎると 外にいる 住民は少なく だから 発見されるまでに 時間がかかりすぎて その時には すでに 亡くなっていた という 心臓に持病があり 自分でも 特に 気をつけてい…

回顧録 no.99   「‥夢の風景  ~豪放磊落が 逝く」 

「~豪放磊落が 逝く」 N先輩 背が高く 体重もあり 歩幅は 僕の倍近くあった ずっと 坊主頭 目も鼻も 口も大きく 見下ろされると 覚悟するほど 裏腹に とても優しく 決して 自分から 喧嘩を売ることは なかった 売る前に 相手がひるんで 喧嘩にならなかった…

回顧録 no.98 「‥夢の風景 ~人々への賛歌」

「~人々への賛歌」 平成の名行司と 称された 第28代 木村庄之助 が 語る 『素晴らしい横綱は たくさんいます が 真の横綱 と言えば 双葉山 でしょう 前人未踏の69連勝を達成しましたが 70連勝は なりませんでした その時 友に打った電報には 「イマダ モッ…

回顧録 no.96 「‥夢の風景  ~電話機の向こう」

~電話機の向こう 吐息か 溜息か 受話器の向こうから 微かに 響いてくる 休日の昼下がり 高齢の夫婦で 切り盛りしている 喫茶店 そこには 小銭を入れる ピンクの電話機が置いてあり 窓の外 けたましく 行き交う車の音を 恨みながら 小銭を 気にしつつ 聞き漏…

回顧録 no.95 「‥夢の風景 ~その先の 海」

「~その先の 海」 寮に 数人の後輩が入ってきて 一人の子が 同室になった K君は 小柄だったが 南の出身らしく 色黒で筋肉質 優しい眼をした 真面目な子で 少し 首をかしげて喋る癖があり 笑うと 片方にだけ 小さなえくぼができた しばらくすると ふるさと…

回顧録 no.94 「‥夢の風景 ~空飛ぶサンタナ」

「~空飛ぶサンタナ」 その車は 空を飛んだ 手元にあったのは 2年半ほどだったが 間違いなく 何回も 空を飛んだ 明るく広く 開放的で 無駄なものがない 空間 内装はアイボリー オレンジ柄のチェックシート スイッチをひねれば なじみのない 5気筒エンジンが …

回顧録 no.93 「‥夢の風景 ~白いYシャツ」

「~白いYシャツ」 クローゼットに収まる 衣類たち 公私含めて 四季含めて どれだけの数 あるのだろう ここ数年 仕事用のものは ほとんど買っていない それは リタイアする時が 近づいていること 以外にも あの頃の体型と ほとんど変わっていないこと それ…

回顧録 no.92   「‥夢の風景  ~夢見た町」

「~夢見た町」 九州の真ん中あたり 高い山々に囲まれ 陽は遅く上がり 早く沈む 峻険な山地に 耕せる田畑は僅か 多くが外へ働きに出る 貧しさが 当たり前の村 あの山の向こうに 新しい土地 新しい町 そこには たくさんの夢があり 叶うものだ と 思っていた …

回顧録 no.90 「‥夢の風景 ~北の国から」」

「~北の国から」 「 北の国から」‥ TVドラマで知った 北海道「富良野」を舞台に 繰り広げられる 父と子の 3人が 必死に 生きていく 21年に及ぶ成長の物語 淡々と描かれていく 厳しくも優しい自然と 周りの人々との 出会いや別れは まるで 本当の親と子が …

回顧録 no.89 「‥夢の風景 ~夏雲を追う」

「~夏雲を追う」 しんとした 無音の午後 けだるい空気が漂う 夏のある日 地上からの 蒸し返しが ほんの少しだけ和らぐ ブナの木の 足元 眩しげに見上げれば 焼けた緑葉から 差し込んでくる 陽の光 その遥か向こうの 青空に 根づくかのように そびえ立つ 入…

回顧録 no.88 「‥夢の風景 ~花の東京」 5/5

「~花の東京」 5/5 平成4年の年が明けた 早くから相談していた Sさんにだけは 帰る意思を伝えていたが 彼は 反対し続けた 「トップになれ とは言わないが 二度とない機会だし 活かすべきだよ」 近くにあった 老夫婦が営む なじみの居酒屋で 何度か 手を変…

回顧録 no.87 「‥夢の風景 ~花の東京」 4/5

「~花の東京」 4/5 東京在勤 2期目 区切りの4年目に入る 全国規模の行事は 多忙を極め 帯状疱疹を発症し 胃潰瘍を患う など はじめは 不安定だったが やがて ひとつ またひとつと 峠を越えるごとに 心身とも 鍛えられ この頃には 不安より 自信の方が 前を…

回顧録 no.86 「‥夢の風景 ~花の東京」 3/5

「~花の東京」 3/5 気の合う友と 尊敬する先輩に 出会えた幸運 友は 中国地方出身のY君 エネルギッシュな好青年で アウトドア派 休日には 飛びっきり 大きな外車のSUVを駆って 家族総ぐるみ 山に入る 一つ年上だった Y君だが はじめは後輩かな?と 思…

回顧録 no.85  「‥夢の風景 ~花の東京」  2/5

「~花の東京」 2/5 住まいは 板橋区の北だった 事務所まで 電車で約1時間 乗り換えなし それが魅力で 決めた 電車一本で 1時間 は 当時としては 破格の好条件だった と 思う だが その判断は かなり甘く 現実は 違った 始発駅近くには 大きな集合住宅があり…

回顧録 no.84 「‥夢の風景 ~花の東京 」  1/5

「~花の東京」 1/5 初冬の 日曜日の午後 薄曇りの空の下 百貨店の屋上 ざわめきの中から 離れ ひとり 端のベンチで 時間を持て余している 妻と子供たちは 買い物に夢中で おそらく ここにいることすら 忘れて いるのだろう そんな 嫌味のひとつも 呟きたい…

回顧録 no.83 「‥夢の風景 ~辛い時があればこそ」

「~辛い時があればこそ」 生きてきた道程で ひとつ 後悔を上げるとすれば ある戦いに挑んで 負けた あのとき 乞われて 決意し 1年以上の時間と 力を 費やして 戦った記憶 そして 負けて 初めて 分かったことがある 真実に見えていたことが 真実ではなかった…

回顧録 no.82  「‥夢の風景 ~沈橋の話」

「~沈橋の話」 長さ40mほど 一級河川に設置された コンクリ-ト製の その橋は 沈橋(ちんきょう)と呼ばれて 地域の暮らしには 欠かせなかったし 通勤や仕事でも 重宝されており 渋滞とまでは いかないが 時間帯によっては どちらか一方の車が 岸で待機する…

回顧録 no.80 「‥夢の風景 ~Mさん と ホタル」

「‥Mさん と ホタル」 20の頃 住んでいた町には 澄んだ水を湛えた川が 蛇行しながら 横断しており 車で20~30分ほど走った その川の上流に 石灰石の白と清水が 織りなす 美しい渓谷があって 夏には 多くの家族の にぎわいがあった 渓谷のすぐ先 古い石橋が…

回顧録 no.78  「‥夢の風景 ~この世とあの世」

「~この世とあの世」 緩やかな坂道が続き 陽炎のように揺れた 遥かな先に 海が見える 春から夏に移る 晴れた 風のある 昼下がり 家庭訪問を終えて その風に 押されるかのように 坂道を下っていく 人影はまばらで そして なぜだか 誰もが 海をめざしている …

回顧録 no.77  「‥夢の風景 ~鐘の音が単調に鳴り響く」

「~鐘の音が単調に鳴り響く」 20にならない 冬だったと 思う 何気なく聞いている FMから流れた ロシア民謡 その曲名が 「鐘の音が単協に鳴り響く」 だと 後で知った フランツ・レフラ-という ドイツのギター奏者が奏でる音は あの頃 あの町で 青春の持っ…

回顧録 no.75  「‥夢の風景 ~祝婚の歌」

「~祝婚の歌」 「結婚して よかったですか?」 と 問われれば 「よかった」 と 答えるに 決まっている いつも 仲が良かったわけではない 幾度となく 喧嘩も した それでも 思い出すのは 楽しそうにお喋りしているとき 桜花を見上げ微笑んでいるとき 庭先で…

回顧録 no.73 「 ‥夢の風景  ~青春の詩 」

「 ~青春の詩 」 人生の折り返し点を 遥かに過ぎた 今 「青春」という 言葉が 蘇っている 機関紙担当になった 30代後半 初めて 新年号表紙を 任された まず 写真‥ 水平線から昇る朝陽 離陸せんとする飛行機 朝靄にけむる鉄塔群 何日も 県内を走り回ったが …

回顧録 no.72 「‥夢の風景  ~幸せである ということ」

「~幸せである ということ」 日当たりのいい部屋 窓ガラスは 咲き揃う春の花を 鮮やかに映し出す 車椅子でうたた寝している 畳敷きのスペースで 体を休めている テーブルの上の白い紙に ちぎった青や赤の色紙を 貼り付けている 向かいは チラシを小さく丸め…

回顧録 no.70 「‥夢の風景 ~ 愛すべき シー」

「~ 愛すべき シー」 「長い間 可愛がってくれて ありがとうございました」 休みの日の朝 庭先で 隣のお兄ちゃんが 頭を下げ 「昨日 シーちゃんが亡くなりました‥」 うつむき加減で 語りかけてくる 「急に元気がなくなって 病院に行ったんですど 腎不全で …

回顧録 no.69 「‥夢の風景  ~肥後の赤椿」

~肥後の赤椿 挨拶に行ったとき 狭い庭には 鉢植えの椿が 幾つも並び そこに 作業服姿の 義父がいた ちょうど 花の時期で 手入れをしていたのだろう 頭を下げると 「‥‥」 小さな声で 応えてくれたのを覚えている 「‥‥」 言葉がなくなって 鉢に目をやると ひ…

回顧録 no.68  「‥夢の風景 ~一心行の大桜 」

「~一心行の大桜」 20年近く前になる その大桜を知ったのは 妻が TV放送か 何かで情報を得たのだろう 「行ってみたい」と 言い出し 思い立って ふたりで訪れた 阿蘇大橋を渡り 南阿蘇村へ入る 左手に阿蘇山を見ながら しばらく走ると 右側に きれいに整備…

回顧録 no.67  「‥夢の風景  ~S先生の鞭 3/3」

「~S先生の鞭 3/3」 それは 「しのぶ竹」 と呼んでいた 小さな竹の 根の部分 節がごつごつして 長さ 40~50㎝ほどあったろうか 振ると 鞭のようにしなり 「ヒュッ」という なんでも 着き通すような 冷たく 恐い 音がした 先生は それで お尻を叩く これま…

回顧録 no.65   「‥夢の風景  ~S先生の鞭  1/3」

「~S先生の鞭 1/3」 校舎の西側 一番端の教室で学んでいた 小学校4年生の時 1年生から3年生までは 同じ女先生が担任 とても優しかった 4年生になり 担任が 男先生に代わった 50歳くらいだったか S先生は 細長い顔 下がり気味の目じり 少し出た顎 よれよれ…

回顧録 no. 62  「‥夢の風景  ~サラのこと」

「~ サラのこと」 サラは 中学生だった娘が妻にねだり はじめて我が家に迎えた 雌の子犬だった コリーを小さくしたシェルティという種類で 名前はペルシャ語の サライ(宿)から いただいた 家族にはとても従順だったが 他の犬との相性はすこぶる悪く 見向…

回顧録 no.61 「‥夢の風景  ~丘の上の天国」 

「~丘の上の天国 」 梅雨前の 晴れた日の朝 友を誘い 丘の上の 喫茶店に足を運ぶ 詰め込み研修会の 裏方 合間の休日 疲れた体と心が 癒しを求めていたから 人のいない 上をめざした 施設探しの時に 偶然見つけた 場所 何もない 青と緑の境 絵に画いたように…